Research Abstract |
1, (Fe-Ni)-Cr-C系合金のミクロ組織調査 平成9年度の研究でFe-Cr-C系耐摩耗合金(高Cr系白鋳鉄)の耐熱性を改善するために酸化されやすいFeを耐酸化性の強いNiに漸次置換する実験を行った。その結果,Ni量を増加すると黒鉛(G)が晶出し,その量も増すので材料強度及び耐摩耗性に悪い影響を与えることが明らかにされた。 本年度は,-Niを100%まで置換した合金に,黒鉛化を阻止し,Cr炭化物を晶出させる目的でCrを50%まで添加した合金の各Ni量での凝固組織図を作成するとともにG晶出の境界線を明確にした。共晶線は%Cr=a・%C+bで表され,aの値はNi量が変化してもほぼ等しく,共晶線はNiの置換量50%までは低C側に移動するが,70%以上になると逆に高c側に移ることが明らかになった。また,G晶出の境界線の最小(%Cr,%C)量は,25%,50%,70%及び100%Ni置換で,それぞれ(12Cr,3.5C), (14Cr,2.7C),(19Cr,3.0C)及び(21Cr,3.0C)となり,Niの置換量を増加するときは,同時にCr量を増さねばならないことが分かった。 2. Ni・Cr-C系合金の凝固組織に及ぼすAlの影響 耐熱性をさらに向上させるために,Alを添加した結果,L→γ+M_7C_3共晶のC量が大幅に変化することを見出した。そこで,Alを0〜8%の範囲で変化させ,同様に凝固組織図を作成した結果,4%N系で(15Cr,2.1C),8%N系で(10Cr,1.0C)となりN添加により,低Cr,低C量で初晶Cr炭化物とAl-Ni金属間化合物が共存した過共晶組織の合金が得られることが明らかになった。 3, Fe-Ni-Cr-C系合金の耐酸化性 Fe〜25%Ni-(10〜30%)Cr-C系合金を用い,熱天秤(GTA)による酸化試験を行った結果,Crが15%以上で,急激に耐酸化性が改善され,Cr量の多いほど,また同-Crでは共晶組成の合金が耐酸化性に優れることが判明した。
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