1998 Fiscal Year Annual Research Report
地熱水の高度エネルギー利用とシリカスケール発生防止
Project/Area Number |
09650824
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中村 正秋 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (30023279)
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Keywords | シリカスケール / 地熱水 / シリカ除去 / シリカモノマー / シード添加 |
Research Abstract |
(1) シリカ除去性能に及ぼすプレシーディング時間の影響 本研究では地熱水を地上に噴出させた後、気液分離する操作を想定し、pHを調整し終えた時点からシードを添加するまでの期間をプレシーディング時間、シードを添加してからの期間を反応時間と定義する。 プレシーディング時間を0〜3600秒まで変化させた。初期シリカ濃度が比較的高い場合(0.70kg-SiO_2・m^<-3>)、プレシーディング時間が長くなるにしたがってシリカ除去効率は大きく減少する。一方、初期シリカ濃度が低い場合(0.50kg-SiO2・m^<-3>)、プレシーディング時間はシリカ除去効率に影響を及ぼさない。 過飽和シリカ溶液において、ある時間までシリカモノマー同士の重合反応は起こらず、シリカモノマー濃度が変化しない期間(誘導期間)が現れる場合がある。プレシーディング時間の影響は、誘導期間の長さに依存し、初期シリカ濃度が高い地熱水において高シリ力除去効率を得るためには、できるだけプレシーディング時間を短くする必要があることが判明した。 (2) シリカ除去性能に及ぼす初期シード濃度の影響 初期シード濃度を0.1〜2.0kg-seed・m^<-3>まで変化させたシリカ除去実験を行った。初期シリカ濃度0.7kg-SiO2・m^<-3>、初期pH7.0では初期シード濃度が高くなるにつれてシリカ除去効率は増加するが、ある初期シード濃度を越えるとシリカ除去効率の増加度合は小さくなった。また、同じ初期シード濃度では温度が高いほどシリカ除去効率は高くなる。 地熱発電所における還元時の地熱水の温度は333K以上であるので、333K以上の温度で高いシリカ除去効率を得るためには、初期シード濃度は0.50kg-seed・m^<-3>以上が望ましい。しかし、初期シード濃度を1.0kg-seed・m^<-3>以上に増加させてもシリカ除去効率の大幅な改善が得られないと思われる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Hajime Sugita: "Removal of Silica from Geothermal Brine by Seeding Method Using Silica Gel" Journal of Chemical Engineering, Japan. Vol.31 (1). 150-152 (1998)
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[Publications] 杉田 創: "シリカゲルシード添加法によるモデル地熱水からのシリカ除去に及ぼすシード特性の影響" 粉体工学会誌. 35巻(5). 338-345 (1998)
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[Publications] Hajime Sugita: "Effect of Aluminum Ion on Silica Removal from Geothermal Brine by Seeding Method Using Silica Gel" Journal of Chemical Engineering, Japan. Vol.31 (3). 462-464 (1998)
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[Publications] 杉田 創: "シリカゲルシード添加法による地熱水からのシリカ除去に及ぼすpHおよび操作条件の影響" 化学工学論文集. 24巻(4). 552-557 (1998)
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[Publications] 杉田 創: "シリカゲルシード添加法による地熱水からのシリカ除去に及ぼす溶存塩の影響" 化学工学論文集. 24巻(6). 969-971 (1998)
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[Publications] 杉田 創: "塩溶液中の溶解性シリカの平衡濃度について" 日本地熱学会. 20巻(3). 225-232 (1998)