1997 Fiscal Year Annual Research Report
両親媒性分子集合体中における化学反応誘起型構造形成に関する研究
Project/Area Number |
09650827
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩井 章久 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助手 (00154162)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 基齊 京都大学, エネルギー理工学研究所, 講師 (50027140)
原田 誠 京都大学, エネルギー理工学研究所, 教授 (90027128)
|
Keywords | 両親媒性分子 / 分子集合体 / 高分子 / シリカ / 化学反応誘起型構造形成 / ゾルゲル / ジドデシルジメチルアンモニウムブロミド / ジ2エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム |
Research Abstract |
交付申請書に従い、(A)両親媒性分子集合体/高分子混合系における平衡構造(B)両親媒性分子集合体中での重合反応誘起型構造形成にわけて記述する。 (A)ジドデシルジメチルアンモニウムブロミドDDAB及びジ2エチルヘキシルスルホ琥珀酸ナトリウムAOTが形成する逆ミセルにポリアクリル酸及びポリアリルアミンを溶解させ、形成される構造をX線小角散乱、動的光散乱、粘度法、電気伝導度法、で検討した。分子集合体は、その幾何学的形状を本質的に変えること無く、上記高分子をその内核水相に可溶化することを見出した。高分子の特性長が元の分子集合体特性長より大きいとき、高分子が分子集合体を鎖状に連結することも明らかとなった。 (B)DDAB逆ミセル中でテトラエチルオルソシリケート(TEOS)を溶解させたまま、塩酸酸性下(内核水相)で3日間保持した後、水酸化ナトリウムで中和することによりTEOSの加水分解・縮重合を進行させ、この系におけるDDAB円筒状逆ミセルの機能を明らかとした。まず、DDAB分子集合体は、それが有するナノ空間内にTEOS誘導物を静電相互作用で濃縮し、加水分解を著しく加速、さらにシリカナノ粒子の形成を導く。これらの挙動はDDABが存在しても分子集合体を形成していない系では見られない。中和後、シリカナノ粒子は円筒状に成長しゲル形成にいたる。形成したゲル内の構造は、分子集合体を形成していないDDAB系に比べて均質かつ微細である。すなわち、分子集合体は、被反応物の集合体界面への濃縮によって反応プロセスを大きく変化させる。また、その縮合(シリカ成長)過程において、シリカの幾何学的構造を制御している。 上記、2点より、分子集合体は高分子共存・形成過程下においても、その幾何的特性を保持していることがわかった。また、その幾何的特性に基づいて化学反応の過程を制御することが推定される。
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] 塩井, 原田, 小比賀, 足立: "水溶性高分子を含んだW/Oマイクロ・エマルションの構造と性質" コロイドおよび界面化学討論会講演要旨集. vol.50. 172-172 (1997)
-
[Publications] 原田, 塩井, 板倉, 足立: "ジドデシルジメチルアンモニウムブロミドからなる逆ミセル中でのアルコキシドからのシリカ形成プロセス" コロイドおよび界面化学討論会講演要旨集. vol,50. 170-170 (1997)
-
[Publications] 板倉, 塩井, 原田, 足立: "W/Oマイクロエマルション中におけるシリコンアルコキシドからのシリカ形成過程" 化学工学会第30回秋季大会講演要旨集. vol.3. 167-167 (1997)
-
[Publications] A.Shioi, M.Harada, M.Adachi(分担執筆): "Recent Research Developments in Physical Chemistry" Transworld Research Network(発表予定), (1998)