1997 Fiscal Year Annual Research Report
新規な多孔質感温性ゲルを用いた余剰活性スラッジの脱水システムの開発
Project/Area Number |
09650845
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
迫原 修治 広島大学, 工学部, 教授 (80108232)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 健彦 広島大学, 工学部, 助手 (10274127)
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Keywords | 感温性ゲル / 多孔質ゲル / ジエチルアクリルアミド / イソプロピルアクリルアミド / 転移温度 / 脱水システム / 膨潤速度 / 収縮速度 |
Research Abstract |
今年度は、脱水システムに供し得る多孔質感温性ゲルの合成条件を明らかにすることを目的とし、N,N-ジエチルアクリルアミド(DEAAM)およびN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)ゲルに関して以下の知見を得た。 1.多孔質化の制御:上記のモノマーは感温性は示さないが、これらのポリマー(PDEAAMおよびPNIPAM)は転移温度がそれぞれ約32℃および31℃(実測値)の感温性を示す。架橋剤にN,N'-メチレンビスアクリルアミドを用いてそれぞれの転移温度以上で重合すると、数μm程度のゲル微粒子と細孔から成る多孔質ゲルが容易に合成された。合成温度および架橋剤濃度によってゲル微粒子径および多孔質化の程度が制御可能であった。 2.吸水量および膨潤・収縮速度:これらの感温性ゲルは、転移温度以下で膨潤(吸水)し、温度の低下に伴って吸水量が増加するが、多孔質化に伴って吸水量の低下がみられた。しかし、架橋剤濃度にもよるが、50℃(収縮状態)と10℃(膨潤状態)とのゲル体積の比は数倍〜10倍程度あった。膨潤・収縮速度も多孔質化の程度と密接に関係したが、多孔質ゲルの膨潤速度は非多孔質(均質)ゲルのそれに比べると数百倍大きかった。また、収縮は膨潤に比べて非常に速く、ほぼ伝熱律速であることが明らかになった。 3.ゲルの強度および安定性:多孔質化に伴ってゲルの弾性率は低下するが、膨潤・収縮試験を繰り返し行ってもゲルが壊れることはなく、数ヶ月間水中に保存しておいても膨潤特性の変化は全く見られなかった。 4.課題および今後の予定:実用化に際しては転移温度の制御も重要であり、この点については更に検討していく必要がある。また、来年度は、有機資源として期待されながら機械的脱水の困難な高濃度洗米廃水の脱水試験を行い、この種の多孔質感温性ゲルを用いた脱水システム構築のための課題を抽出する予定である。
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[Publications] Takehiko Gotoh: "A Novel Synthesis of Thermo-sensitive Porous Hydrogels" Journal of Applied Polymer Science. (印刷中). (1998)
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[Publications] 後藤健彦: "スポンジ状感温性ゲル-工業的分離媒体への応用を目指した簡便な合成法-" 高分子加工. 46・12. 554-560 (1997)