1997 Fiscal Year Annual Research Report
マイケル付加と類似反応に高活性な固体塩基触媒の開発
Project/Area Number |
09650853
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
服部 英 北海道大学, エネルギー先端工学研究センター, 教授 (00000844)
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Keywords | 固体塩基 / マイケル付加 / シアノエチレーション / アクリロニトリル / アルコール / アルカリ土類金属酸化物 / KF / Al_2O_3 |
Research Abstract |
有機合成反応の触媒として固体触媒を用いることが出来れば、容易な生成物と触媒の分離、反応温度の無制限化等多くの利点がある。固体塩基を有機合成反応の触媒として用いた例は、現在までほんの数えられる位いの数しかない。有機合成にとって有用な塩基触媒反応の1つにマイケル付加がある。マイケル付加とその類似反応は炭素-炭素結合を生成する反応であり、幅広い応用が可能な反応である。本年度は、マイケル付加類似反応であるシアノエチレーションに有効な触媒を探索する目的で実験を行った。シアノエチレーションは、アクリロニトリルをある化合物に付加し、ニトリルを合成する反応であり、有機合成に有用な反応である。 アクリロニトリルによるアルコール類のシアノエチレーションによる3-アルコキシプロパンニロリル類の合成に対して、固体塩基触媒のなかでアルカリ土類金属酸化物および水酸化物、アルミナ担持フッ化カリウムおよび水酸化カリウムが高い活性を示すことを見出した。反応は50℃で進行し、副生成物は見られなかった。アルコールの種類と反応性との関連は、触媒の種類によって異なり、強い塩基性点を有する触媒では、3級、2級、1級アルコールの順に反応性が低下するが、弱い塩基性点を有する触媒では逆の順になる。これは、反応の律連段階が前者ではアルコキシアニオンとアクリロニトリルの反応、後者ではアルコールからのプロトン引抜きになるためと推定された。固体塩基触媒の1つの欠点として、触媒を大気に触れさせると多くの反応に対する触媒活性が消失することがあげられる。アルコール類のシアノエチレーションに対しては、触媒を大気に触れさせても失活しないことが分かった。このことは、固体塩基触媒を用いたシアノエチレーションは、容易に実用プロセスになり得ることを意味している。
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Research Products
(1 results)