1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650861
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Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
鶴谷 滋 神戸大学, 工学部, 教授 (00031120)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西山 覚 神戸大学, 工学部, 助教授 (00156126)
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Keywords | ベンゼン / フェノール / バナジウム担持触媒 / ピロカテコール / 過酸化水素 / 酸化 / アスコルビン酸 / 酸素化 |
Research Abstract |
酸化剤として酸素をもちいるベンゼン酸化反応によるフェノール合成用の触媒開発を目的として,今年度は担持バナジウム触媒の本酸化反応に対する活性を調べた.共存還元剤としてアスコルビン酸を,また溶媒として酢酸水溶液をそれぞれ使用した.酸素圧が1気圧の場合,昨年度報告した担持銅触媒(Cu/SiO_2)よりも,担持バナジウム触媒(V/SiO_2)のベンゼン生成活性は低くかった.酸素圧4気圧においてベンゼン酸化をおこなったところ,Cd/Si0_2触媒の活性はほとんど変化なかったが,V/Si0_2触媒を用いると酸素圧1気圧のときに較べて,フェノール収率は大きく増加することが認められた.従って以後,酸素圧4気圧下においてV/SiO,触媒のベンゼン酸化によるフェノール生成活性を調べた.前駆体であるバナジウム塩の効果から,オキシバナジウムアセチルアセトナートが最適であることがわかった.反応中におけるV/SiO触媒からのバナジウムイオンの溶出率を観測したところ反応終了後,80%のV種が溶出し,そのV種が溶出したろ液中でベンゼン酸化を試みたところ,わずかにフェノール生成が認められた.したがってフェノール収率は,担持および溶出V種活性の総和として評価することにした.酸素圧および反応温度の影響から,フェノール生成に対して,それぞれ最適な酸素圧,反応温度をもつことがわかった.還元剤であるアスコルビン酸量を変化させたところ,フェノール収率は最大値をもった.フェノール収率が減少しはじめる領域から,ピロカテコールの生成が観測された.これは,アスコルビン酸が高濃度の領域で生成したフェノールがさらに逐次的に水酸基化されたことによるものと思われる.ベンゼン酸化反応中において,過酸化水素の生成が観測され,その過酸化水素の生成量は生成フェノール量と密接に関係していることがわかった.溶出V種を含む反応液の電子吸収スペクトルからも過酸化水素の生成が確認された.
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