1998 Fiscal Year Annual Research Report
熱電変換型水素濃淡電池用電極触媒の乾式拡散法による調製
Project/Area Number |
09650862
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 泰和 東京理科大学, 工学部, 教授 (10010761)
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Keywords | 熱電変換型電池 / 水素濃淡電池 / 脱水素触媒電極 / 2-プロパノール脱水素 / 水素スピルオーバー能 / 高表面積炭素担体 / 乾式拡散調製法 / Pd-Ru複合金属触媒 |
Research Abstract |
太陽熱、地熱、工場廃熱のような低品位熱で2-プロパノール液相脱水素反応を進行させると、生成するアセトンと水素は電極触媒上で高分子電解質膜を透過するプロトンおよび外部回路を通る電子の介在で燃料電池を構成するため、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する新規の熱電変換システムが構築されることになる。2-プロパノール脱水素反応と水素/アセトン燃料電池を併発させる熱再生型燃料電池に加えて、直接炭素担体上へプロトンと電子を供給する水素スピルオーバー型金属触媒に2-プロパノールとアセトンが正負電極にそれぞれ液相供給され、前者の脱水素活性と水素スピルオーバー能で決まる水素濃度は触媒特性によって決まる速度論支配であって1気圧水素相当の濃度を凌駕する可能性があるうえ、水素化・脱水素反応の転化率が大きければそれだけ蒸留分離の熱負担を小さく抑えることができる。アセトン水素化反応のギブスエネルギー変化をできる限り大きく設定するには、高い水素濃度(熱力学的活動度)を炭素担体上に実現しうる、優れた触媒を開発する必要があり、その目的に最もよく適合する触媒調製法がパイメタリック・ナノサイズ粒子を炭素担体上に一様に、粒径と組成を揃えて用意する乾式拡散法であることが本研究により明らかになったと言える。 電気化学的測定は電子総合研究所エネルギー部で行われているが、電極触媒の開発がシステムの鍵を握っている。2-プロパノールからの水素スピルオーバーをいかに速やかに、水素ガス発生なしに進行させるかの課題にはなお検討の余地が残されているけれども、炭酸ガスを出さない燃料電池の構築は21世紀エネルギー問題にとって欠くことのできない技術的課題である。
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Research Products
(8 results)
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[Publications] 永井直宏・斉藤泰和: "液膜状態にある炭素担持2-プロパノール脱水素触媒の熱力学的特質" 水素エネルギーシステム. 23・1. 3-9 (1998)
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[Publications] 小川忠之・木村純弘・斉藤泰和: "2-プロパノール/アセトン系熱駆動電池電極の用いるPd系脱水素触媒のスピルオーバー特性" 水素エネルギーシステム. 23・1. 10-15 (1998)
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[Publications] 斉藤泰和: "触媒反応のエクセルギー評価" エネルギー・資源. 19・5. 419-423 (1998)
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[Publications] 久保野・村上・坂口・斉藤: "乾式拡散法による金属クラスター錯体からの複合金属触媒の調製" 触媒. 40・6. 404-407 (1998)
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[Publications] Hodoshima,Liu,Saito: "Hydrogen Storage & Transportation by Catalyst-assisted Reaction Pair" Intern.J.Hydrogen Energy. 24・(in press). (1999)
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[Publications] 通沢・木村・斉藤・安藤・田中: "熱再生型燃料電池のためのアセトン水素化/2-プロパノール脱水素触媒の開発" 水素エネルギーシステム. 24・1(in press). (1999)
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[Publications] Y.Saito(分担執筆): "Hydrogen Energy Progress XII" Pergamon Press, 2760 (1998)
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[Publications] 御園生誠・斉藤泰和: "触媒化学" 丸善, 186 (1999)