1997 Fiscal Year Annual Research Report
植物ホルモンとガス環境の新規な制御法による不定胚形成の促進
Project/Area Number |
09650867
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関 実 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教授 (80206622)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古崎 新太郎 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (40011209)
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Keywords | 植物培養細胞 / 植物ホルモン / オーキシン / 2.4-D / リボフラビン / 不定胚 / バイオリアクター / バイオプロセス工学 |
Research Abstract |
我々は,これまでに,培地中へのリボフラビンの添加により不定胚分化が促進されることを明らかにし,また,気相中に不定胚分化を促進する物質と,阻害する物質が蓄積することを示唆する結果も得ている。そこで,本研究では,不定胚を経由するカルス再分化系の効率化とそのスケールアップを目標として,二つのことを試みる。1)リボフラビンを固定化したビーズを作成し,これを用いたオーキシン類の光分解による不定胚再分化系の制御(効率化)および2)気相を循環利用するバイオリアクターによるカルス再分化系のスケールアップ,である。本年度は以下のような知見を得た。 1)リボフラビン(RF)によるオーキシン類の分解挙動を詳細に検討した結果,RFを触媒とする2,4-Dの濃度依存的な分解は,光強度に強く依存すること,分解生産物としてルミクロムが生成され,この物質には触媒作用がないことが,示された。FAD,FMNにも触媒作用があることが示された。 2)ニンジン培養細胞系に対するリボフラビンの添加の結果、細胞内外の2,4-D減少速度の向上,不定胚形成効率の明確な向上が観察された。 リボフラビンの有効利用,オーキシン濃度の適度な制御の観点から,リボフラビンをビーズに固定化するため,リボフラビンに疎水的な側鎖(アルキル鎖)を付加,疎水性担体に固定化してオーキシン分解用のビーズ製作し,これを用いたオーキシンの除去性能を測定した。その結果,RFビーズの有効性を確認した。 現在,RFビーズによる不定胚誘導得性の検討および,不定胚分化過程でのガス成分の分析を開始している。
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