1998 Fiscal Year Annual Research Report
修飾シクロデキストリンを用いたDNAインターカレータの研究
Project/Area Number |
09650869
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池田 宰 広島大学, 工学部, 助教授 (40151295)
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Keywords | シクロデキストリン / 修飾シクロデキストリン / アントラセン修飾シクロデキストリン / DNAインターカレータ / 包接 |
Research Abstract |
近年、DNAと相互作用を有する化合物に関する研究が、生体系でのDNA認識のメカニズムの模倣、モデル化合物として注目されている。また、DNAを位置特異的に切断する機能や、位置特異的に認識する、またはインターカレートする機能などは、制癌剤を初めとする新規薬剤の重要な新しい機能性の一つとして注目、要求されている。本研究は、グルコースが複数個環状に結合しその疎水性空洞に種々の有機化合物を取り込みコンプレックスを形成する能力を有するシクロデキストリンに対し適当な残基を導入することによりDNAインターカレート能を有する修飾シクロデキストリンを合成し、DNAに対する相互作用(認識・切断)や、ドラッグ・デリバリー・システム、ドラッグ・ターゲッティングに対する利用、応用などを検討することを目的としている。 昨年度、グルコース7つからなるβ-シクロデキストリンの1級水酸基側にアントラセン残基を一つ導入した化合物を合成し、DNAに対する認識能についての検討を行なった。今年度は、リンカー鎖としてエチレンジアミンおよび、1,4-ジアミノブタンを導入したβ-シクロデキストリンに対し、カップリング反応によりアントラセン残基の導入を試み、新たに2種類のアントラセン修飾シクロデキストリンを得ることに成功した。得られた2種類の化合物を用い、リンカー鎖長による機能性の差異についての検討を行なった。リンカー鎖長の差異により、アントラセン残基のシクロデキストリン空洞に対する配向が異なることが、NMR、CDスペクトルの測定より明らかとなった。また、DNAに対する認識能にも差異が現れることが、UVスペクトルの測定より示された。 以上のように、構造の異なる2種類のDNAインター力レート能を有する修飾シクロデキストリンの構築に成功し、その構造の差異による異なった機能性に対する知見を得ることに成功した。
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[Publications] S.Usui: "Molecular Dynamics Conformational Search for the Factors that Determine Conformation of Modified Cyclodextrins" Supramol.Chem.9. 57-67 (1998)
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[Publications] H.Ohtake: "Regulation of bacterial phosphate taxis and polyphosphate accumulation in response to phosphate starvation stress" J.Biosci. 23. 491-499 (1998)
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[Publications] T.Ikeda: "Conformational Studies on Anthryl (alkylamino) -β-cyclodextrin Complexes and their Abilities as DNA Intercalators" Mol.Recagrition and Inclusion. 373-376 (1998)