1997 Fiscal Year Annual Research Report
酸性極限環境下に生育できる微生物の耐酸性機能の解析
Project/Area Number |
09650871
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
天野 義文 山梨大学, 工学部, 教授 (70020401)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒澤 尋 山梨大学, 工学部, 助教授 (10225295)
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Keywords | 硫黄酸化細菌 / 耐酸性 / シトクロム c オキシダーゼ |
Research Abstract |
耐酸性菌Thiobacillus thiooxidansの耐酸性機構を解明するために、耐酸性に関与していると推定されるcytochrome coxidaseおよびcytochrome cの分離精製を行った。 1.cytochrome c oxidaseの精製: チオ硫酸を基質として培養した菌体を破砕し破砕液を遠心分離して無細胞抽出液を調製した。活性は還元型cytochrome cの酸化による吸光度の減少速度の測定から求めた。無細胞抽出液を超遠心分離により細胞分画をしたところ、本酵素は細胞膜に局在する膜酵素であることがわかった。細胞膜に結合した状態における酵素の性質を検討した。反応の最適pHは3.5〜4.0であることがわかった。耐酸性でない菌の最適pHが6であるのに対し、本菌の最適pHは耐酸性菌T.ferrooxidansの最適pH(3.5)と一致した。またpH5.0の酸性条件下で安定であった。これらの結果より本菌のcytochrome c oxidaseは耐酸性に関係していると考えられた。酵素を細胞膜画分からTriton X-100を用いて可溶化し、Triton X-100存在下でDEAE-SepharoseおよびSepharoseカラムクロマトグラフィーにより精製を試みた。その結果、完全な精製標品が得られず今後さらに検討することが必要である。 2.cytochrome cの精製: 膜酵素cytochrome c oxidaseの反応基質は膜画分に近接して存在するcytochrome cであると考えられるので、本菌の膜画分に含まれるcytochrome cの分離精製を行った。細胞膜画分からHeptylthioglucosideを用いて可溶化したcytochrome c画分をTriton X-100存在下でCM-celluloseおよびHydroxylapatiteカラムクロマトグラフィーで精製を行った。その結果、電気泳動的に均一な標品が得られた。 今後、本菌の耐酸性に関係する膜結合型cytochrome c oxidaseおよびcytochrome cの性質を明らかにし、本菌の耐酸性機構を解明したいと考えている。
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