1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650875
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
高木 昌宏 大阪大学, 工学部, 助教授 (00183434)
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Keywords | モノクローナル抗体 / 電子伝達 / 水素発生 / 励起三重項状態 |
Research Abstract |
抗ポルフィリン(TCPP)モノクローナル抗体13-1は、L鎖単独で抗原と結合し、TCPP鉄錯体との複合体はTCPP鉄錯体単独の場合に比べ高いペルオキシダーゼ活性と耐熱性を有することから、新規耐熱性抗体酵素L-zymeと命名された。植物のクロロフィルをモデルとしてポルフィリンの亜鉛錯体を13-1マウス抗体L鎖で覆うことで光増感能を向上させ、EDTAを電子供与体としてメチルビオロゲンやヒドロゲナーゼを介して水素発生を行う抗体タンパク質を利用した人工光合成システムの構築を目的とした。蛍光消光法によりTCPP Zn(II)と13-1L鎖との解離定数(Kd)を測定し、Kdは1.1×10^<-5>(M)となり13-1L鎖がTCPP Zn(II)を認識し結合することが認められた。メチルビオロゲンが還元されて生じる605nmでの特異的な発色を吸光度で経時的に測定することで、TCPP Zn(II)及びTCPP Zn(II)+13-1L鎖複合体の光増感を有することが分かった。さらにこの反応は90℃という高温で最大の反応速度を示すことが認められた。次に光合成細菌Desulfovibrio vulgaris由来のヒドロゲナーゼを水素発生触媒として光水素発生反応を行った。その結果、TCPP Zn(II)+13-1L鎖複合体はTCPP Zn(II)単独の場合に比べ30℃において2倍以上の量の水素を発生することがカスクロマトグラフィーにより確認された。励起三重項状態の平均寿命をレーザーフラッシュフォトリシスにより測定したところ、TCPP Zn(II)単独の場合では433μsであったのに対してTCPP Zn(II)+13-1L鎖複合体の場合は811μsとなり、13-1L鎖の包摂によるTCPP Zn(II)の光増感能の上昇は励起三重項状態の平均寿命の増大により生じていることが認められた。
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