1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650875
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Research Institution | OSAKA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
高木 昌宏 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (00183434)
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Keywords | モノクローナル抗体 / 光増感 / ガン光線力学治療 / 光水素発生 |
Research Abstract |
抗ポルフィリン抗体L鎖が、ポルフィリン鉄錯体を包接した状態でぺルオキシダーゼ活性を有する新規抗体酵素L-zymeを開発した。Oxford Molecular社製の抗体構造予測プログラム(AbM)を用いて、抗体可変部領域の構造を予測し、L-zymeは自然界のぺルオキシダーゼ反応機構と類似の反応様式を備えている可能性が強く示唆された。また、ポルフィリンの亜鉛錯体を抗体L鎖タンパク質で包接する事で光増感を向上させ、光水素発生反応を促進させた。TCPPZn(II)の励起三重項状態の平均寿命をレーザーフラッシュフォトリシスにより測定したところ、平均寿命はTCPPZn(II)単独の場合では433μsであったのに対してTCPPZn(II)+13-IL鎖複合体の場合は811μsとなり光増感能の上昇は励起三重項状態の平均寿命の増大により生じていることが認められた。ヒト子宮頚部ガン細胞(HeLa細胞)、ヒト肝ガン細胞(HepG2細胞)及びヒト正常肺線維芽細胞(WI-38細胞)について、光増感剤であるヘマトポルフィリンと赤色光で処理を行った際、HeLa細胞では、ポルフィリン濃度と光照射時間に依存してアポトーシスを起こしていた。アポトーシスを抑制するbcl-2遺伝子を組み込んだHeLa細胞を用いた結果、死滅抑制を確認することができたが、DNAのヌクレオソーム単位への断片化は起こらなかった。さらに、MAPKであるJNKがわずかであるが活性化され、p38は明らかに活性化された。紫外線照射の場合、DNAの断片化を明瞭に確認することができ、JNKとp38は共に強く活性化された事より、光処理とUV照射ではDNA断片化やJNK活性化において、シグナル伝達経路に違いがあるものの、照射によって細胞内でROSが生じ、物理化学的ストレスとなってガン細胞が死滅している点で共通であると考えられた。
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[Publications] K.Kohda et al.: "Studies of high thermostability and peroxidase activity of recombinant antibody L-chair-porphyrin Fe(III)complex" FEBS Letters.407. 280-284 (1997)
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[Publications] 高木昌宏: "抗体を利用して機能性タンパク質を創製する" バイオサイエンスとインダストリー. 55. 906-907 (1997)