1997 Fiscal Year Annual Research Report
分泌シグナルを持たない増殖因子の細胞外輸送機構の解析
Project/Area Number |
09650879
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
妹尾 昌治 岡山大学, 工学部, 助教授 (90243493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 宏子 岡山大学, 工学部, 助手 (60271061)
山田 秀徳 岡山大学, 工学部, 教授 (80037613)
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Keywords | 分泌シグナル / 増殖因子 / 細胞外輸送 / 可溶性受容体 / 塩基性線維芽細胞増殖因子 / クリプト |
Research Abstract |
明確な分泌シグナルを持たないためその細胞外移行のメカニズムが明らかにされていない塩基性線維芽細胞増殖因子(bFGF)とその可溶性受容体およびクリプト(CR-1)のcDNAを発現する細胞株を樹立しこれらの分子がどのような分布を示して細胞外へと輸送され、また細胞表面から遊離されるのか、その機構と経路を検討中である。 まず、bFGFとその可溶性受容体の共発現系をマウス正常線維芽細胞BALB/c3T3を用いて確立した。この形質転換細胞は、培地中にbFGFを分泌することがウェスタンブロッティングにより確認された。これはbFGFを単独で発現する細胞では観察できなかった現象であり、bFGFの細胞外移行に可溶性受容体が関与している可能性を示すものである。今後この細胞を用いて、細胞内局在や分泌経路について検討を加えていく予定である。 ヒト結腸癌および乳癌由来細胞株で発見された新規な因子CR-1は、遺伝子の配列から上皮細胞成長因子ファミリーに属すると考えられているが、分泌シグナルの有無に関しては異論が有る。また、遺伝子レベルの発現に関する報告は有るが蛋白質としての知見は少ない。そこで、アミノ末端約30アミノ酸の配列が実際に分泌シグナルとして機能しているかあるいは細胞内局在に関与しているかという点について検討を予定しているが、この解析を行うために、現在動物細胞での発現系を構築中である。構築中のデザインは遺伝子にコードされるものを原形として、アミノ末端約30アミノ酸配列の欠損型、EGFモチーフとグリーンフルオレッセントプロテイン(GFP)との融合タンパク質、あるいはアミノ末端約30アミノ酸の配列をベータセルリンの分泌シグナルに置き換えたものである。
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