1997 Fiscal Year Annual Research Report
肝細胞の三次元培養を利用した動物実験代替のための薬物代謝シミュレーターの開発
Project/Area Number |
09650882
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井嶋 博之 九州大学, 工学部, 講師 (10274515)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木原 伸一 九州大学, 工学部, 助手 (30284524)
船津 和守 九州大学, 工学部, 教授 (80037960)
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Keywords | 薬物代謝シミュレーター / 動物実験代替 / ポリウレタン発泡体 / 多細管PUF充填層 / 肝細胞 / スフェロイド / アセトアミノフェン / リドカイン |
Research Abstract |
スポンジ様の多孔質材であるポリウレタンフォーム(PUF)を培養担体として初代ラット肝細胞を培養すると,そのPUF孔内において直径約100μmの球状細胞集塊であるスフェロイドを形成した。これまで用いられてきた単層培養では肝特異的機能は生体外で速やかに消失していたのに対し,このPUF/肝細胞スフェロイド培養では静置培養下で10日間以上良好に維持した。特に,解熱鎮痛剤であるアセトアミノフェンをグルクロン酸および硫酸抱合した化合物に変換し,生体内での肝臓における代謝経路を生体外で再現することに成功した。また,局所麻酔剤であるリドカインもN-脱エチル化により,モノエチルグリシンキシリダイド(MEGX)へと代謝され,アセトアミノフェンと同様な結果が得られた。肝細胞スフェロイドのこれらの機能は単層培養肝細胞の1.5〜2.0倍のレベルを培養10日間良好に維持していた。 また,リドカインの肝細胞毒性においても肝細胞スフェロイドは耐性を示し,リドカイン濃度が8mMの場合に単層培養肝細胞が全て死滅したのに対し,肝細胞スフェロイドは50%以上の生存率を示した。 以上の結果から,本培養方法は動物実験代替法である薬物代謝シミュレーターとして有望であることが示された。
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Research Products
(7 results)
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[Publications] H.Ijima: "Spheroid Formation of Primary Dog Hepatocytes Using Polyurethane Foam and Its Application to Hybrid Artificial Liver" Animal Cell Technology. 577-583 (1997)
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[Publications] 松下 琢: "PUF/肝細胞スフェロイド充填層型人工肝臓のイヌ温虚血肝不全モデルへの適用" 人工臓器. 26巻2号. 455-459 (1997)
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[Publications] 中澤 浩二: "PUF/肝細胞スフェロイド培養法を利用した薬物代謝シミュレーターの開発" 人工臓器. 26巻3号. 713-718 (1997)
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[Publications] 井嶋 博之: "PUF/肝細胞スフェロイド充填層型人工肝臓の薬物誘導肝不全ラットへの適用" 人工臓器. 26巻3号. 719-723 (1997)
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[Publications] K.Funatsu: "Finite Element Analysis of 3-dimensional Flow in Agitated Bioreactors" Animal Cell Technology. Vol.8. 75-82 (1997)
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[Publications] K.Nakazawa: "Prolonged Lidocaine Metabolizing Activity of Primary Hepatocytes with Spheroid Culture Using Polyurethane Foam as a Culture Substratum" Cytotechnology. 24巻3号. 235-242 (1997)
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[Publications] 井嶋 博之: "肝臓病学の最前線" 中外医学社, 6 (1997)