1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650892
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Research Institution | KYUSHU UNIVERSITY |
Principal Investigator |
今任 稔彦 九州大学, 工学部, 教授 (50117066)
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Keywords | 濃厚試料 / 化学センサ / 酸・塩基 |
Research Abstract |
本研究は、濃厚な酸・塩基及び酸化還元性成分を直接測定できる化学センサの開発を目的として、pH及び電位に関する緩衝液を内部液とする電位差検出法に基づくセンサを試作し、その性能を検討した。成果は以下の通りである。 (1) 直径10mmのエポキシ管先端に、2本の内径0.5mmテフロンパイプとともに白金線と銀塩化銀電極参照電極を埋め込んだ微小酸化還元電極を作製し、これをスペーサを介してセロファン製のダアリシス膜(ビスキング膜)で覆ったセンサを試作した。シリンジポンプを用いて、センサの内部液である鉄(III)-鉄(II)イオン形のポリスチレンスルホン酸水溶液をテフロンパイプを通して内部電極室に導入できる構造である。 (2) このセンサの過酸化水素やアスコルビン酸に対する応答を調べたところ、30秒程度の誘導期間の後、内蔵の酸化還元電極の電位は時間に比例して増加し、この電位変化速度が試料の濃度に比例することが分かった。また、試作したセンサは過酸化水素やアスコルビン酸0.1M-1Mの濃度の試料についての測定が可能であり、センサの感度が、隔膜の厚さ、内部液の濃度に依存することを明らかにした。 (3) (1)の白金電極の代わりにpHに応答するアンチモン酸を内部電極とし、ポリアクリル酸とポリアクリル酸ナトリウムの混合溶液を内部液とするセンサを試作した。 (4) 試作センサを2.0-10Mの塩酸試料に対して応答を調べたところ、30秒程度の誘導期間の後、内蔵のアンチモン酸電極の電位は時間に比例して増加し、この電位変化速度は2.0-6.0Mの範囲で試料の濃度に比例することが分かった。また、ダイアシス膜の有効面積を微小化することにより、酸試料の内部液の透過量を制限し、さらに高濃度試料の測定が可能であることが期待できる。
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Research Products
(6 results)
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[Publications] Takashi Masadome me: "Flow injection determination of anionic polyelectrolytes using an anionic surfactant selective plasticized poly(vinyl chloride) membrane electrode detector" Fresenius'Journal of Analytical Chemistry. 357. 901-903 (1997)
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[Publications] Hiroki Ohura: "Potentiometric Flow Injection Determination of Amylase Activity by Using Hexacyanoferrate(III)-Hexacyanoferrate(II) Potenital Buffer" Talanta. 45. 565-573 (1998)
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[Publications] Aki Sakai: "Flow Injection Analysis for Residual Chlorine Using Pb(II) Ion Selective Electrode Detector" Talanta. 45. 575-581 (1998)
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[Publications] Takashi Masadome: "Flow Injection Determination of Dodecylsulfate Using a Dodecylsulfate-Selective Plasticized Poly(Vinyl Chloride) Membrane Electrode Detector" Journal of Flow Injection Analysis. 15. 242-247 (1998)
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[Publications] 今任稔彦: "「化学入門」 第3章 物質の変化" 共立出版, 40 (1997)
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[Publications] 正留 隆: "「機器分析の基礎」 13章 電気化学分析" 裳華房, 25 (1997)