1997 Fiscal Year Annual Research Report
水晶発振子マイクロバランス法を利用する界面活性剤及び高分子電解質センサーの開発
Project/Area Number |
09650898
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ariake National College of Technology |
Principal Investigator |
正留 隆 有明工業高等専門学校, 物質工学科, 助教授 (30190341)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今任 稔彦 九州大学, 大学院・工学研究科・化学システム工学専攻, 教授 (50117066)
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Keywords | 界面活性剤 / 高分子電解質 / 化学センサー / 水晶振動子マイクロバランス法 / イオウ化合物 |
Research Abstract |
1.本研究は、金イオンセンサ感応膜に用いている可塑剤や高分子の末端にチオール基を導入し、これらを電極表面に金一イオウ結合を利用して修飾し、界面活性剤イオンならびに高分子イオンセンサを電気化学的水晶振動子マイクロバランス(QCM)法によりセンシングする系を開発することを目的とした。 2.3.まず、SH(CH_2)_<10>COOH,SH(CH_2)_<11>NH_2・HC1,SH(CH_2)_3NH_2・HC1ならびにBr(CH_2)_6NH_2・HBrの4種のイオウ化合物の合成を試みた。SH(CH_2)_<10>COOHは純度のよいものを合成できたが、SH(CH_2)_<11>NH_2・HC1は、3段階目の反応が難しいので合成できなかった。SH(CH_2)_3NH_2・HC1は一応合成できたが、純度は85%程度と良好ではなかった。Br(CH_2)_6NH_2・HBrは一応合成できたが、適当な再結晶溶媒を見つけることができなかった。そこで、SH(CH_2)_<10>COOHとSH(CH_2)_3NH_2・HC1をイオウ化合物として用い、QCMの金電極表面をこれら化合物により修飾して、QCMセンサーを作製した。まず、SH(CH_2)_<10>COOHで修飾したQCMセンサーの陽イオン性高分子電解質に対する応答を検討した。10^<-5>〜10^<-2>Mの濃度範囲て、QCMセンサーの周波数は試料濃度に依存しなかった。さらにセンサの周波数か不安定であり、再現性も良好ではなかった。 また、SH(CH_2)_3NH_2・HC1で修飾したQCMセンサーの陰イオン性高分子電解質に対する応答を検討した。SH(CH_2)_<10>COOHで修飾したQCMセンサーの陽イオン性高分子電解質に対する応答と同様に、SH(CH_2)_3NH_2・HC1で修飾したQCMセンサーの周波数は試料濃度に依存しなかった。さらにセンサの周波数が不安定であり、再現性も良好ではなかった。これは検討したQCMセンサーの周波数が試料濃度に依存しないのは、イオウ化合物にイオン性高分子電解質が吸着していないためだと考えられる。今後、今回はうまく合成できなかったイオウ化合物の合成を再検討し、サイクリックボルタンメトリーを用いてイオウ化合物にイオン性高分子電解質が吸着するかを確かめ、さらにQCM以外の測定法たとえば表面プラズモン共鳴法を用いることを検討することにより、目的のQCMセンサを開発することを考えている。
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