1998 Fiscal Year Annual Research Report
光化学ダイオードによる反応の整流効果と二酸化炭素固定化への応用
Project/Area Number |
09650915
|
Research Institution | NARA NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
泉 生一郎 奈良工業高等専門学校, 物質化学工学科, 教授 (50043477)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石丸 裕二 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 助手 (70270311)
京兼 純 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (50043469)
片倉 勝己 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 助教授 (80169466)
|
Keywords | 光化学ダイオード / 光エネルギー変換 / 二酸化炭素固定 / 光触媒 / 黒鉛層間化合物 |
Research Abstract |
本研究は、光エネルギー変換素子としての『生成物分離型光化学ダイオード』の動作機能を確認するとともに、二酸化炭素の還元により有機化合物を合成することを目的としており、平成9年度と平成10年度の2年間の計画で実施したものである。得られた研究成果の概要は以下の通りである。 1. n.TiO_2/Tiの薄板で、K_2SO_4水溶掖とKHCO_3水溶掖の2種の電解質溶液を完全に分離し、2室セルとした生成物分離型光化学ダイオードを作製した。K_2SO_4水溶液と接するn-TiO_2面へのXe光照射を行うと、n-TiO_2側では水分解による酸素発生、暗部Ti金属側ではもっぱら水素発生が起こることが分かった。これらのことから、光化学ダイオードの電荷分離と両サイトにおける酸化,還元反応の機能を確認した。 2. Ti金属面にあらかじめ銅を電析させてn-TiO_2/Ti/Cuタイプの光化学ダイオードとし、上記と同じ条件下で光照射を行うと、水素以外に二酸化炭素からの還元生成物としてメタン、エチレン、一酸化炭素が発生し、光化学ダイオードによる二酸化炭素還元が可能なことを明らかにした。 3. さらに銅表面に銀を電析させ、銅と銀の表面比率を変えることにより、二酸化炭素還元からの生成物分布に選択性をもたらすことができた。例えば、銀の比率を大きくすると、メタンとエチレンの生成割合が逆転し、表面が全て銀で覆われたときには一酸化炭素の発生が優先することが分かった。 4. n-TiO_2に代わる新規の光エネルギー変換用材料として黒鉛層間化合物に着目し、塩化物黒鉛層間化合物について光感応性を見出した。さらに、アノード分極下でn型半導体、カソード分極下でp型半導体的な挙動を示すことを明らかにした。また光触媒として働き、水分解により水素を生成することを見出した。
|
Research Products
(6 results)
-
[Publications] 泉 生一郎: "塩化銅-黒鉛層間化合物のCO_2還元に対する電極触媒効果" 奈良高専・研究紀要. No.33. 105-110 (1997)
-
[Publications] Yasuyuki OHNISHI: "Selective CO_2 Reduction using the Photochemical Diode of the System n-TiO_2/Ti/Cu-Ag" DENKI KAGAKU(現在、Electrochemistry). Vol.66. 590-593 (1998)
-
[Publications] 泉 生一郎: "光化学ダイオードによる光エネルギー変換と還元反応" KYOEI. No.106. 19-25 (1998)
-
[Publications] 浜田 洋司: "金属塩化物黒鉛層間化合物の光電気化学的挙動" 電気化学会技術教育・研究論文誌. Vol.7. 107-113 (1998)
-
[Publications] Norio IWASHITA: "Photosensitization of Graphite Intercalation Compounds with Metal Chlorides" CARBON. Vol.36. 1700-1703 (1998)
-
[Publications] Yohji HAMADA: "Photoelectrochemical Behavior of Graphite Intercalation Compounds with Metal Chlorides" DENKI KAGAKU(現在、Electrochemistry). Vol.66. 1320-1322 (1998)