1998 Fiscal Year Annual Research Report
水溶性ホスト分子のポリイオンコンプレックスによる固定化とその機能化に関する研究
Project/Area Number |
09650942
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
柘植 顕彦 九州工業大学, 工学部, 助教授 (80179986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森口 哲次 九州工業大学, 工学部, 教務職員 (40243985)
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Keywords | カリックスアレーン / ホスト-ゲスト化学 / ポリイオンコンプレックス / 合成二分子膜 |
Research Abstract |
分子同士の特異的な相互作用に基づく分子認識は生体系において、重要な反応である。これに有機化学的にアプローチしよとする試みが数多くなされている。特に、機能性大環状化合物が示す分子認識特性を利用したホスト-ゲストの化学は注目されている。しかしながら、溶液中で認められるこのような分子認識能を、実用化し、高機能材料として活用するためには、水溶液から取り出して使用できることが不可欠である。そこで、本研究では、機能性大環状化合物をポリイオンコンプレックス法を用いて、水溶液中での特性を維持したまま水に不溶化させ、固定化する手法を開発するとともに新しい機能性を付与することを目的とした。大環状化合物の基本骨格として、比較的合成容易なカリックスアレーン類を用いた。この基本骨格に4級アンモニウム塩、及びスルホン塩基を導入することにより、それぞれカチオン性、及びアニオン性ホスト分子を得ることができた。これに、それぞれアニオン性ポリマー、及びカチオン性ポリマーを添加することにより、ポリイオンコンプレックスを形成させた。このなかで、コンドロイチン硫酸を使用する系が、最も適当であることがわかった。また、ホスト分子とポリマーとを混合する際のカチオン/アニオンの荷電比が4:1の場合に良好なコンプレックスが得られた。次に、荷電部位を持たないカリックスアレーン類のカチオン性合成二分子膜への可溶化を試みた。この場合、水溶液中でほぼ100:1の割合で可溶化が可能なことがわかった。これにアニオン性ポリマーを添加することにより、二分子膜を含むポリイオンコンプレックスを形成させた。これらポリイオンコンプレックスを適当な有機溶媒からキャストすることにより、カリックスアレーン類の特性を維持した、透明、かつ強度のあるフィルムを得ることに成功した。
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[Publications] A.Tsuge: "Specific transannular interaction in small-sized cyclophane systems" Recent Research Developments in Pure & Applied Chemistry. (印刷中). (1999)
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[Publications] T.Moriguchi: "Conformational and Intramolecular Hydrogen-Bonding Properties of Substituted Dithia[3、3]metacyclophanes" Chem.Lett.167-168 (1999)
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[Publications] A.Tsuge: "Immobilization of a water-sduble host molecule by polyion complexation with a polymer" Aust.J.Chem.51. 1175-1178 (1998)
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[Publications] K.Sakata: "Preparation and spectroscopic properties of five 7,16-bis(azophenyl)tetroaz[14]annulene nickel(II)complexes" Inorganica Chemica Acta. 281. 190-194 (1998)
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[Publications] K.Sakata: "Preparation and spectral properties of nickel(II) and copper(II)complexes with two isomeric cyclohexylcyclams" Polyhedron. 17. 1463-1470 (1998)
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[Publications] A.Tsuge: "Preparation and Conformational Properties of 1,8-Bridged Fluorenophanes" Chem,Lett. 603-604 (1998)