1998 Fiscal Year Annual Research Report
フェロセン環を組み入れた新規ポルフィリン誘導体の合成とその機能性の検討
Project/Area Number |
09650947
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
泉 多恵子 山形大学, 工学部, 教授 (10007031)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木島 龍朗 山形大学, 工学部, 助手 (50272084)
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Keywords | ポルフィリン誘導体 / フェロセン / 有機金属錯体 / 環電流 / サイクリックボルタノグラム |
Research Abstract |
本研究の目的は、新しい機能性物質を目指してポルフィリン環にフェロセンのような有機金属錯体を導入することによって生じるポルフィリン環の特性を検討することにある。ポルフィリン化合物は機能性化合物として注目されている化合物の一つであり、種々の置換其を導入してその多様な機能性を利用する研究が進められており、多くの成果を挙げている。また、環の中心で種々の金属錯体を形成できるため、反応の触媒としての利用なども注目されている。フェロセンを直接ポルフィリン環に組み込んだ例はなく、合成が可能かどうかも新しい検討目標であった。昨年までの検討の結果、置換其のないピロール環では重合が早く進みすぎてポルフィリン環の生成が難しいことがわかったため、活性な水素のない3,4-位にメチル其およびエチル其が置換したピロール誘導体を用いて、フェロセンがメソ位に二個導入したポルフィリン誘導体の合成に成功した。物性比較のためにフェニル其が二個導入されたポルフィリン誘導体、さらにパラ-フェロセニルフェニル其の二個導入されたポルフィリン誘導体も合成して反応性や物性の比較検討を行った。フェロセン環がメソ位に入ることによってポルフィリン環の環電流に大きな影響を与えていることが、UV-VISスペクトルや1H-NMRスペクトルの結果よりわかった。フェニル其が導入されたポルフィリンでは見られない結果であった。またサイクリックボルタノダラムの結果より、フェロセンが導入されたポルフィリンはフェロロセン環のない場合と比べて低電位側にシフトしており、かなり還元度が高いことがわかった。合成段階で酸性条件では極めて分解しやすい実験事実とも一致した。また、フェロセン環の一個導入されたポルフィリン誘導体の合成も検討した。単離精製が困難ではあったが、マススペクトル、UVで合成が確認されてた。さらに亜鉛、コバルト、鉄錯体も合成した。
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