1998 Fiscal Year Annual Research Report
フッ素メディエーターを利用する生理活性有機フッ素化合物の高選択的電解合成
Project/Area Number |
09650949
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Research Institution | TOKYO INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
淵上 寿雄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (10016701)
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Keywords | 有機フッ素化合物 / 電解アルコキシ化 / 光学活性オキサチオラン / 光学活性スルフィド / 光学活性トリフルオロメチル化合物 / 電解酸化 |
Research Abstract |
本研究は分子内にCF_3基とOH基を合わせ持つ光学活性スルフィド類を対象とし、フッ化物イオンによって促進される陽極アルコキシ化を分子内で行わせることにより、生理活性が期待される含CF_3オキサチオラン類の新合成法を開拓することを目的として行ったものであり、初期の目的を達成できた。 1. フッ素メディエーターによる分子内陽極アルコキシ化を利用する生理活性含CF_3オキサチオラン類の合成 光学活性トリフルオ口プロピレンオキシドとパラ置換ベンゼンチオール類との反応により分子内にCF3基とOH基を合わせ持つ光学活性スルフィド類1を合成した。ついで、1ををフッ化物イオン存在下、白金陽極によりアセトニトリル溶媒中で電解酸化したところ、分子内アルコキシ化による環化が起こり、目的とする含CF_3オキサチオラン類2をジアステレオマー混合物として高収率で得ることに成功した。ベンゼン環上に電子吸引性の置換基を持つ1は高収率で2を与えるのに対し、電子供与性の置換基を持つ1は分子内環化が起こりにくくなり2の収率が低下した。得られたジアステレオマーはカラムクロマトグラフィーで用意に分離でき、それぞれのジアステレオマーの立体配置を^1HNMRスペクトルにより決定した。本反応はスルフィドの分子内陽極アルコキシ化の最初の成功例でもあり、電極反応論的にも大いに意義がある。また、得られたCF_3オキサチオラン類はホスホリパーゼA2阻害作用を示すことも分かった。
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[Publications] 古田昇二: "Electrosynthesis of β-Trifluoromethylated O_1S-Acetals and α-(tri-fluoromethyl)acrylates Using a Fluoride Ion Mediate-" Journal of Fluorine Chemistry. 87. 209-214 (1998)
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[Publications] 古田昇二: "Fluoride Ion Mediated Anodic α-Methoxylation of 2-Medioxy-3,3,3-trifluoropropyl Phenyl Sulfide and Its Synthetic Application" Electrochimica Acta. 43・21/22. 3153-3157 (1998)
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[Publications] 渕上寿雄: "Advances in Electron Transfer Chemistry.Vol.6" JAI Press, 90 (1999)