1997 Fiscal Year Annual Research Report
典型金属からの電子移動型反応による求電子剤の極性変換と未踏炭素-炭素結合形成反応
Project/Area Number |
09650951
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
西口 郁三 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20026347)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 博史 長岡技術科学大学, 工学部, 助手 (70283041)
|
Keywords | 活性オレフィン類 / 電子移動型反応 / 金属マグネシウム / 炭素-ケイ素結合形成反応 / 還元的カップリング反応 / ジアステレオ選択的不斉誘導 / 反応性金属陽極 / α-アリール,α-シリルプロピオン酸誘導体 |
Research Abstract |
本研究では、入手が極めて容易な金属Mg(通常のグリニャ-ル反応用削状)の特異な電子移動型還元作用により、活性オレフィン類とトリメチルシリルクロライド(TMSCl)との高選択的な還元的カップリング反応が、常温常圧下で円滑に進行し、好収率にてα-アリール、α-シリルプロピオン酸誘導体が得られる事を見い出した。 種々の活性オレフィン類の同様な条件下でのTMSClとの金属Mgを用いる還元的カップリング反応の結果が示しているように、極めて簡便な操作と温和な条件にて対応する炭素-シリル化生成物が好収率にて得られ、反応規模の拡大も極めて容易である。桂皮酸エチルのフェニル環のパラ位にシアノ基やカルボメチル基などの強い電子吸引性基をもつ場合、カップリング生成物は全く得られない(すべて単純還元生成物になる)など、両反応の結果はほぼ同じ傾向を示しており、金属Mgを用いる還元的カップリング反応も、Mgを反応性金属陽極とする電極還元反応と同様に、活性オレフィン類への電子移動により進行している事を示唆している。 次に電極還元反応および金属Mgを用いる活性オレフィン類およびTMSClの還元的カップリング反応におけるジアステレオ選択的な不斉誘導について検討した。(S)-(-)-4-ベンジル-2-オキサゾリジノンと桂皮酸クロライド類より容易に調製されるキラールな対応する酸アミドを反応原料に用いて、同様な反応条件にて2方法による炭素-ケイ素結合形成反応を行った結果を次の表に示す。現在のところde値はいずれの方法で30-40%で決して満足すべき値ではないが、-40℃の低温で行えば、deは52%にまで改善された。また、オキサゾリジノン環の2-位の置換基はベンジル基(de=39%)、イソプロピル基(de=45%)、イソブチル基(de=50%)となり、deは置換基の嵩高さと反応点との近接度に大きな影響を受ける事を示唆している。更に、求電子剤のシリルクロライドのケイ素上の置換基は、(CH_3)_3Si(de=39%),CH_3Ph_2Si(de=52%)となり、立体的に嵩高い方がより高いジアステレオ選択性を示した。
|
-
[Publications] 西口郁三 他: "有機電気化学による分子変換-有機電解合成" 化学と教育. 45. 124-133
-
[Publications] Ikuzo NISHIGUCHI: "Unusual Rearrangement by Anodic Oxidation of Cycloalkanones in the Presence of Trifluoroaceti Acid" Electrochimica Acta.42. 2265-2266