1998 Fiscal Year Annual Research Report
アリル型有機金属試薬を用いるイミン類の新規触媒的アリル化反応の開発
Project/Area Number |
09650955
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Research Institution | TOYOHASHI UNIVERSITY OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
伊津野 真一 豊橋技術科学大学, 工学部, 助教授 (50158755)
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Keywords | 不斉アリル化反応 / アリルホウ素化合物 / N-メタロイミン / N-シリルイミン / N-アルミニウムイミン / N-ボリルイミン / ホモアリルアミン |
Research Abstract |
プロキラルなC=N二重結合に対するアリル型有機金属の不斉付加反応は最も基本的なC-C結合形成反応の一つであり、得られる光学活性ホモアリルアミン類の有用性からも重要な反応である。本研究では種々の光学活性アリルホウ素試薬を開発し、イミン類との反応を検討し、以下のような結果を得た。 (1) N-置換基にAl,B,Siなどを有するN-メタロイミンはアリルホウ素試薬に対して高反応性を示し、後処理により直接一級ホモアリルアミンを与えた。(2)N-シリルイミンについて、種々の不斉修飾アリルホウ素化剤の反応性、および選択性を調査した。アリルホウ素の不斉リガンドとしては、ノルエフェドリンなどから誘導した光学活性N-スルホニルアミノアルコールが有効であり、低温(-78℃)でも収率よく一級ホモアリルアミンを与えた。(3) N-アルミノイミンの不斉アリル化反応では、ピネンから誘導した不斉アリル化剤がN-アルミノイミンのアリル化には最も適していることがわかった。また、この系では、室温でも比較的高い(>80% ee)エナンチオ選択性を示すという特徴を持つ。(4)N-ボリルイミンがニトリルをボラン誘導体またはボロハイドライドを用いた部分還元によって合成できることを明らかにした。N-ボリルイミンの不斉アリル化反応も0℃〜室温で高選択性を実現できた。(5)不斉修飾アリル化剤を架橋高分子に結合して使うことで貴重な不斉源を失うことなく何度でも再利用することができる。そこで高分子担持型不斉アリル化剤の合成とそれを用いる不斉反応についても検討を行った。本研究で合成した高分子型不斉アリル化剤では、不均一系であるにもかかわらず、収率よく反応が進み、選択性についても対応する低分子の均一溶液系反応で得られた結果と同等の値を得ることができた。
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[Publications] S.Itsuno: "Asymmetric reactions on polymers: diastereoselective allylation of polymer-supported chiral imines" New Journal of Chemistry. 775-777 (1998)
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[Publications] K.Watanabe: "Enantioselective synthesis of optically active homoallylamines by allylboration of N-diisobutylaluminum imines" Journal of Organometallic Chemistry. (in press). (1999)