1998 Fiscal Year Annual Research Report
エピセレノニウムイオン中間体の単離および炭素-炭素結合生成反応への利用
Project/Area Number |
09650957
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
年光 昭夫 京都大学, 化学研究所, 助教授 (60127107)
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Keywords | エピセレノニウムイオン / 立体保護 / 電子吸引基 / 炭素-炭素結合生成反応 / キラル炭素 |
Research Abstract |
含セレン三員環陽イオン性反応中間体と考えられるエピセレノニウムイオンの単離を目的として、セレン原子に結合した有機基および対イオンとなる陰イオンの構造について検討を行った。 セレンに結合した有機基としては嵩高い置換基と電子吸引性の置換基を合わせ持つアリール基が望ましいことは前年度までの研究で明らかにした。この方針に沿って2,6-位にt-ブチル基、4-位にトリフルオロメチル基もしくはニトロ基を有するアリールセレン基を合成した。このセレン基のキラル炭素への隣接基関与を経由する求核置換反応を行い、反応を高濃度で行ってもラセミ化を全く伴わず、完全に立体保持で反応が進行することを明らかにした。この結果より、エピセレノニウムイオンの安定性としてはこれまでに合成したアリールセレン基の中で最も高いと評価した。 これらのアリール基を有するジセレニドと塩素との反応により求電子性のセレン化試剤を合成し、オレフィンとの反応を行った。これらの生成物とホウ素の四フッ化物、リン、ヒ素、アンチモンの六フッ化物との反応を行い、エピセレノニウムイオンの生成をスペクトル的には確認した。しかし、このイオンの単離には現在のところ成功していない。より安定で取り扱いやすい塩にするにはペンタフルオロフェニル基を有する四配位のホウ素、あるいは六配位のリン、ヒ素、アンチモンを用いる必要があるとの結論に達し、これらを陰イオンとするエピセレノニウムイオンの合成には成功した。現在、最終目標であるこれらのイオンの単離手段について鋭意検討中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] A.Toshimitsu,K-Nakano K.Tomoo: "Prevension of Racemization of the chiral Carbon in the Episelenonium Ion Intermediate:steric Protection and Election-withdrawing Effect" Phosphorus Sulphur and Silican. 136,137.138. 649-652 (1998)
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[Publications] A.Toshimitsu.S.Uemura: "Organoselenium chemistry.A Practical Approachi" Oxford University Press, 印刷中 (1999)