1998 Fiscal Year Annual Research Report
有機化学的方法に基づく遷移金属内包フラーレンの合成
Project/Area Number |
09650960
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
戸部 義人 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (60127264)
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Keywords | フラーレン / 金属内包フラーレン / ヘテロフラーレン / ポリイン / シクロファン / マススペクトル |
Research Abstract |
カゴ型カーボンクラスター(C60H6)の合成とフラーレンへの異性化 ベンゼン環を核とするカゴ型化合物(C60H6)の脱水素-異性化反応によるフラーレンの合成について検討する目的で、三次元的シクロファン構造をもつ前駆体化合物を合成した。その前駆体のレーザーデソープションマススペクトルにおいて、[2+2]開裂反応により高反応性のポリイン鎖ができ目的のC60H6が発生するとともに、C60も生成することを見いだした。この結果は、ポリインの環化によりカゴ状のフラーレン構造が合成できる可能性を初めて実験的に示したものであり、有機化学的合成法によって金属内包フラーレンが合成しうることを示唆する結果である。さらに環化-脱ハロゲン化によりフラーレンへの異性化が容易なC60C16も、対応する前駆体のレーザーデソープションマススペクトルによって生成し、これがC60を与えることを確認した。 含窒素カーボンクラスター(058N2H4)の合成とジアザフラーレンへの異性化 ベンゼン環の代わりにピリジン環をもつカゴ型分子(C58N2H4)を、上記の方法と同様にその前駆体のレーザーデソープションマススペクトルによって発生させた。その結果、少量ながらも初めてジアザフラーレンC58N2の検出に成功した。この研究は、フラーレンアニオン類と等電子的である偶数の窒素原子を含むヘテロフラーレンを検出した初めての例であり、金属内包錯体の合成上も重要な知見である。
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Yoshito Tobe: "〔16.16.16〕(1,3,5)Cycle planetetracosagne(C_<60>H_6):A Precursor to C_<60> Fullerene" Journal of the American Chemical Society. 120・18. 4544-4545 (1998)
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[Publications] Yoshito Tobe: "Synthesis and Association Behavior of〔4.4.4.4.4.4〕Metacyclophcinedcdecayne Derivatives with Interior Binding Groups" Angewandte Chemie International Edition. 37・9. 1285-1287 (1998)
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[Publications] UweH.F.Bunz: "Polyetnylated Cyclic π-Systems:Scaffoldings for Novel Two and Three-Dimensional Carbon Networks" Chemical Society Reviews. 印刷中. (1999)
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[Publications] Yoshito Tobe: "Advances in Strained and Interesting Organic Molecules" JAI Press 印刷中, (1999)