1997 Fiscal Year Annual Research Report
有機ケイ素イオンのイオン分子反応におけるd軌道の分子論的研究
Project/Area Number |
09650961
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
竹内 孝江 奈良女子大学, 理学部, 助手 (80201606)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 正夫 奈良女子大学, 理学部, 教授 (80028159)
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Keywords | FT-ICR / イオン分子反応 / 有機ケイ素 / ab initio MO / シレン / 1,1-dimethyl-1-silacyclobutane / 重水素ラベル / 環化付加反応 |
Research Abstract |
1.次世代の新材料技術として,有機ケイ素を利用した高機能材料創製が期待されているが,減圧下での有機ケイ素の反応は未解明であり,材料設計が可能であるところまで技術レベルをあげるのに困難をきたしている。アルケンは非常に安定な化合物であるのに対して,二重結合を含む有機ケイ素化合物は不安定である。本研究では,Si=C二重結合をもつシレンラジカルカチオンと不飽和化合物(CD_2=CD_2,CH_3CH=CH_2およぴCF_3CF=CF_2)との気相イオン分子反応を,FT-ICRMS法によって研究した^<1)>。 2.FT-lCR実験は,Bruker Apex 47e FT-1CR質量分析計(4.7T)を用いて行った。1,1-dimethyl-1-Silacyclobutaneを外部イオン源で70eV-電子イオン化し,ICRセル中に80ms間パルス導入後,ArまたはCO_2で100ms衝突安定化させ,2秒後にm/z72以外のすべてのイオンをlCRセル中から除去することによって,目的の1,1-dimethyl-1-silaethylene radical cationを単離した。再び,衝突安定化させた後,反応させる不飽和化合物をleak valveから導入し,2〜12秒間反応させた。イオン分子反応は10^<-7>mbarの真空下で行った。[((CD_3)_2Si=CH_2]^+とのイオン分子反応も観測した。 3.[(CH_3)_2Si=CH_2]^+とCD_2=CD_2を2.1秒間反応させたときのFT-lCRスペクトルでは、adductionによるピークが,104に出現した。Cycloadditionが起こり,四員環構造のadduct ionからethyleneが脱離するならば,CD_2=CD_22を脱離した72と、CD_2=CH_2を脱離した74を生成すると予想されるが、スペクトル結果は,72と74に大きなピークを示し,73はわずかであった。75,76の生成は,逐次反応機構によって説明された。 1)T.Takeuchi,R.Fokkens,L.J.de Koning,N.M. M.Nibbering,the 14^<th>IMSC、1997,WePo00
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Research Products
(5 results)
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[Publications] T.Takeuchi: "The charge effects in the low-energy ion depositing processes" Nucl.Instrum.Mech.Phys.Res.B. 121. 154-156 (1997)
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[Publications] T.Takeuchi: "Effects of charge in ion-surface interactions" Surface Science. 372. L319-L322 (1997)
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[Publications] T.Takeuchi: "an ab initio molecular orbital study of ion-solid interaction in carbon deposition processes" Appl.Surf.Sci.113/114. 652-655 (1997)
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[Publications] 竹内孝江: "入射炭素イオンとグラファイト表面の電子構造" 真空. 40・8. 639-642 (1997)
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[Publications] 竹内孝江: "イオン-表面相互作用における電子構造" アイオニクス. 23・7. 3-7 (1997)