1998 Fiscal Year Annual Research Report
糖質由来の不斉の環境場を利用する立体選択的な炭素-炭素結合形成反応の開発
Project/Area Number |
09650965
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
只野 金一 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (20051914)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高尾 賢一 慶應義塾大学, 理工学部, 助手 (70287481)
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Keywords | 糖質 / 不斉な環境場 / キラル補助剤 / 不斉合成 / 1,4-付加反応 / β(ベータ)位置換ブタン酸 |
Research Abstract |
糖質のもつ環状構造を「キラルな環境場」として捉え、その結果実現される不斉誘起による高エナンチオ選択的な炭素一炭素結合形成反応の開発を目的とし、本年度は以下の課題を主に検討した。 昨年度に高いエナンチオ選択性の発現が確認されているD-グルコピラノース構造への銅アート試剤による共役1,4一付加反応のさらなる応用を試みた。 その結果、D-グルコピラノースのC-4位に1,4一付加の受容部となるクロトニルエステル部、もしくは桂皮酸エステル部を有し、C-2,3位が様々の水酸基保護構造である数種の誘導体を基質としたアルキル、アリール、およびビニル鋼アート試剤による付加反応は、高いβ-位炭素へのπ面選択性にて進行した。ついで、キラル補助部として機能したD-グルコピラノース部をケン化により除去したところ、最高99%以上のエナンチオ選択比にてβ-位がアルキル置換されたブタン酸類が得られた。なお、C-6位にクロトニルエステル部が存在し、C-4位がO-ピバロイル基の誘導体を基質とした1.4一付加反応の場合、ビニル鋼アート錯体を用いた場合には、ビニル基のπ面への攻撃の立体選択性は、C-4位が受容部である上記の基質の場合とは逆になることが判明した。 すなわち、D-グルコース誘導体を基質として、1,4一付加の受容部をC-4位、もしくはC-6位とすることで、高い光学純度を持つβ-位がアルキル基にて置換されたブタン酸の両エナンチオマーを合成し分ける新規な方法を開発する事ができた。 さらなる課題として、D-グルコフラノース構造を不斉の環境場と見立てた不斉合成についても検討した。 その結果、D-グルコフラノースのC-3位に2-シクロヘキセノン骨格を置換基として導入した化合物を合成し、1,4一付加をアルキル鋼アート錯体を用いて試みたところ、高立体選択的に炭素一炭素結合形成が起こることが確認出来た。
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Research Products
(1 results)