1998 Fiscal Year Annual Research Report
N-末端に生物活性基を結合したペプチド型抗ウイルス剤の開発
Project/Area Number |
09650968
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Research Institution | AKITA NATIONAL COLLEGE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
千葉 卓男 秋田工業高等専門学校, 物質工学科, 教授 (70006336)
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Keywords | 抗ウイルス剤 / エイズウイルス / トリペプチド / スルフォン酸 / RSウイルス |
Research Abstract |
ウイルスの表面には宿主細胞への吸着・融合の際に,重要な働きをする融合ペプチドが存在し,これは20数個からなる疎水性アミノ酸配列を持つ.そこで本研究では,疎水性アミノ酸配列のうちN-末端のトリペプチド部分に着目し,N-末端トリベプチド部分に保護基として生理活性基の導入を行った.まず,アミノ酸のN-保護基としてZ(benzyloxycarbonyl)基を有するRSウイルスの融合ペプチドの類似体(Z-FLG)を合成した.このものはRSウイルスに対して活性を示したので,さらに活性の強いN-保護基を開発する目的でZ基の類似体を考えた.通常の医薬品開発と同様,分子の長さに注目し,Z基と全く同じ長さを持つ,phenoxyacetyl基を導入したところ,活性は若干低下することが分かった.次にZ基の酸素原子を炭素原子に置き換えたphenylpropionyl基,さらにZ基に含まれる酸素原子が直鎖上からはずれた枝分かれ構造となるmandelyl基やZ基より炭素原子1個分短いphenylacetyl基では活性がないことが判明した.そこで電子吸引性を有するニトロ基をベンゼン環のパラ位に持つZ基のを導入したところ,やはり期待した活性の向上は見られなかった.また電子吸引性の強いtrifluoroacetyl基を導入したがこの場合は全く活性を示さなかった.次にHIVに対してスルフォン酸を持つものに活性を示す薬剤が多く報告されていることから,N-末端にアセチルスルファニリル基を導入し,さらにアセチルアミノ基部位の応用を行った.合成した6種類のアセチルスルファニリルアミノ酸のアセチル基部位を加水分解した後,亜硝酸でジアゾ化し,活性メチレンを有する4種類の複素環化合物と反応させてヒドラジノ基の導入に成功した.この中で相対的に収率の良かったヒドロキシクマリンを持つヒドラジノジペプチドへの誘導を行った.しかしながら,これらのジペプチドでは予期した抗ウイルス活性は見られなかった.
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Research Products
(4 results)
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[Publications] Takuo Chiva,Nahito Takahashi,Yuya Takasugi: "Antiviral Activity of Fusion Peptide Analogue Having Novel N-Protecting Groups" Research Reports of Akita National College of Technology. 33. 55-58 (1998)
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[Publications] 千葉卓男,遠藤 彰: "ウイルスの吸着阻害活性を指標としたN-保護アミノ酸誘導体の合成" 秋田化学技術協会誌. 50. 32-33 (1998)
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[Publications] Takuo Chiba,Akira Endo,Shinogu Sugawara: "Antiviral Activity of Benzoxazinone Derivatives Having Amino Acid Moiety" Research Reports of Akita National College of Technology. 34. 37-39 (1999)
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[Publications] 千葉卓男,川野みどり: "抗ウイルス活性を指標とした各種保護基を有するスルファニリルジペプチドの創製" 秋田化学技術協会誌. 51(発表予定). (1999)