1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650969
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
大石 好行 岩手大学, 工学部, 助教授 (90194076)
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Keywords | シリル化法 / Nーシリル化ジアミン / トリアジンジクロリド / ポリグアナミン / 溶液重縮合 / 芳香族高分子 / 耐熱性 |
Research Abstract |
N-シリル化アミン類は有機ケイ素化合物の中で反応性に富む求核剤であり,カルボン酸クロリド,カルボン酸無水物,イソシアナート,エポキシドなどの求電子試薬と反応することを応用して,ポリアミド,ポリイミド,ポリ尿素,ポリアミンが合成できることを既に見いだしている.そこで,本研究では,本シリル化法が縮合系高分子の有用な合成であることを明らかにするために,活性な芳香族ジハライドである6-置換-1,3,5-トリアジン-2,4-ジクロリドとN-シリル化芳香族ジアミンとの重縮合により,芳香族ポリアミン(ポリグアナミン)の合成を検討した. 脂肪族アミノ基および芳香族アミノ基を有するトリアジンジクロリドとN,N'-ビストリメチルシリル化芳香族ジアミンを非プロトン性極性溶媒中80〜140℃で溶液重縮合を行い,トリメチルシリルクロリドを脱離しながら重合が進行した.本シリル化法では,従来の芳香族ジアミンを用いる重縮合に比べて,容易に高分子量のポリグアナミンが生成した.また,トリアジンジクロリドの反応性に及ぼす置換基の影響を調べた結果,電子供与性の高い脂肪族アミノ基より芳香族アミノ基を有するトリアジンジクロリドの方が反応性が高く,より温和な条件下で高分子量のポリグアナミンが生成することがわかった.なお,生成したポリグアナミンは有機溶媒に可溶で200℃付近の高いガラス転移温度を有することから,新しい産業用のプラスチックとして有望である. 本シリル化法の特徴として,(1)高分子量のポリグアナミンが容易に得られること,(2)脱離成分が中性のトリメチルシリルクロリドであるため酸受容剤を必要としないこと,(3)脱離成分が揮発性であるため重合溶液をそのまま成形できること,(4)ポリグアナミンの精製を必要としないこと,などがあげられる. 以上のように,シリル化法は芳香族ポリグアナミンの優れた新合成法であると考えられる.
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