1997 Fiscal Year Annual Research Report
高分子主鎖へのエポキシ化合物の逐次的挿入反応による新しい定序性高分子の合成
Project/Area Number |
09650983
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
亀山 敦 神奈川大学, 工学部, 助手 (80231265)
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Keywords | 定序性高分子 / 主鎖変換 / ポリ(アリールホスホネート) / 挿入反応 / オキシラン類 |
Research Abstract |
本研究で目的とする定序性高分子の合成の基礎反応であるホスホン酸エステル類へのオキシラン類の挿入反応について検討した。その結果、ジフェニルフェニルホスフィネートと種々のオキシラン類との反応は、テトラブチルホスホニウムクロリド(TBPC)を触媒に用いることにより、N-メチル-2-ピロリドン溶媒中比較的温和な条件で進行し、付加生成物が定量的収率で得られることが明らかとなった。また、この反応はオキシラン類が位置選択的に反応し、β-付加体が選択的に合成されることを見出した。この知見に基づき、ポリ(アリールホスホネート)(P-1)へのオキシラン類の位置選択的挿入反応による主鎖変換について検討した。TBPCを触媒に用いて、P-1とグリシジルフェニルエーテル(GPE)との反応をトルエン中110℃48時間で行った結果、反応が進行しP-1のアリールホスホネート基が全て消失した。しかし、得られた高分子(P-2)の分子量は出発高分子P-1の分子量よりも小さく、副反応がわずかに進行し一部主鎖が切断されたことが示唆された。ここでさらに触媒の探索を行った結果、臭化セシウム/ジベンゾ-18-クラウン-6-エーテルを用いることにより、副反応が抑制され、GPEの挿入反応が定量的に進行することを見出した。この反応で得られた高分子のIR,^1H NMRおよび^<13>C NMRスペクトルから、生成物はGPEが高分子P-1に位置選択的に挿入した定序性高分子であることが判明した。また、分子量がP-1よりも大きいことからも主鎖の切断は起きていないことが支持された。この場合の定序配列は、P-1をA-B型高分子、GPEをCとすると,-A-C-B-C-となる。また、種々のオキシラン類を用いた場合にも同様に対応する定序性高分子が得られた。さらに、主鎖構造の異なるポリ(アリールホスホネート)類とGPEとの反応も容易に進行し、様々な-A-C-B-C-型定序性高分子が得られた。以上、オキシラン類のポリ(アリールホスホネート)類への挿入反応による主鎖変換が、交互共重合反応では合成が困難である定序性高分子の合成に有用であることが明らかとなった。
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