1999 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09650987
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
田中 文彦 京都大学, 工学研究科, 教授 (50107695)
|
Keywords | 会合高分子 / 可逆ゲル / 架橋多重度 / 疎水性凝集 / 分子内ミセル / ヘリックス・コイル転移 / 網目構造 / モンテカルロシミュレーション |
Research Abstract |
会合高分子とは,部分的に疎水化された水溶性会合高分子のことである.ポリエチレンオキシドを主鎖にした,片末端疎水基,両末端疎水基(テレケリックポリマー),鎖上で周期的に疎水基をもつ周期会合高分子,両親媒性ジブロック共重合体,トリブロック共重合体,などをモデル高分子とした.これらの高分子は水中でミセルを形成したり,ゲル化したりする.本課題では,会合高分子のゾル・ゲル転移に注目し,(1)ゲル化点近傍での架橋構造,(2)ネットワーク中の架橋点の運動性と弾性的に有効な鎖の数,(3)分子内ミセル形成と分子間架橋が競合する現象,(4)界面活性剤の添加効果,(5)高分子のコンフォーメーション転移とゲル化現象の相関,(6)異種高分子が混合して形成される2成分高分子ネットワーク,等について統計力学的理論解析とモンテカルロシミュレーションを相補的に行うことにより,以下のような成果を得た.まず,ゾル・ゲル転移,マクロ・ミクロ相分離,臨界ミセル点を含む相図を広い温度濃度領域で高速で導出できる計算法を確立し,様々な実験結果と比較検討した.特に,ゾル・ゲル転移線から架橋構造(特に多重度)を推定する「修正エルドリッジ・フェリー法」を開発し,ポリビニルアルコール等のゲルに適用した.また,有効鎖の数えあげによりゲルの弾性率を求める方法を開発した.テレケリックポリマーの場合にループ鎖とブリッジ鎖との割合を高分子濃度や温度の関数として求め,ネットワークの大域的構造のキャラクタリゼーション手法(鎖の会合形態の分類)を提案した.これにより,フラワーミセル出現条件を解明した.以上のすべての問題に関連した溶液の空間構造を分子レベルで詳細に検討するため,相図上の点を指定すると計算が始まるような理論・シミュレーション統合システムの開発を試みている.
|
Research Products
(4 results)
-
[Publications] F.Tanaka: "Thermoreversible Gelation with Two-Component Networks"Macromolecules. 32・4. 1271-1283 (1999)
-
[Publications] F.Tanaka: "Polymer-Surfactant Interaction in Thermoreversible Gels"Molecular Interactions and Time-Space Organaization in Macromolecular Fluids. 81-89 (1999)
-
[Publications] F.Tanaka: "Intermolecular and Intermolecular Association in Thermoreversible Gelation of Hydrophobically Modified Associating Polymers"Computational and Theoretical Polymer Science. 特集号. (2000)
-
[Publications] F.Tanaka: "Thermoreversible Gelation Strongly Coupled to Polymer Conformational Transition"Macromolecules. 5月号. (2000)