1997 Fiscal Year Annual Research Report
結晶性ー非晶性ー液晶性三元ブロック共重合体の秩序構造発現機構の解明
Project/Area Number |
09650989
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
野瀬 卓平 東京工業大学, 工学部・高分子工学科, 教授 (20016405)
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Keywords | ブロック共重合体 / 剛直性高分子 / 秩序構造 / 会合体 |
Research Abstract |
ブロック共重合体は、様々な秩序構造を形成し、その共重合組成・温度依存症や、秩序ー無秩序相転移の機構に関する知見は、高分子凝集系の基礎的理解を深める上で重要である。本研究では、ブロック共重合体の構成セグメントの一つに液晶性高分子を取り入れた系の構造形成に着目し、分子内水素結合により主鎖が剛直な棒状構造を取り、液晶性を示し得るポリ(γ‐ベンジル L-グルタメート) (PBGL)と、柔軟性が高く室温でも液体状のポリプロピレンオキサイド(PPO)、同じく柔軟性は高いが結晶性の良いポリエチレンオキサイド(PEO)から成る、結晶性-非晶性-液晶性三元ブロック共重合体PEO-PPO-PBLGを取り上げ、それらが発現する相構造特性を解明することを目的とする。 本年度は準備段階としてPBLGにPEOをつないだジブロック共重合体PEO-PBLGについて、静的および動的光散乱により溶液中での会合性と会合体構造を調べ、以下の新しい知見を得た。 (1)PEO-PBLGはジクロロエタン中では分子状に溶解し会合体を形成しないが、これにPEOと等モル程度の水(H_2O)を加えることによりPEOをコアとした会合体を形成する。 (2)この会合体は1μm程度の大きさの棒状(あるいは盤状)であり、PEOが芯となりそれに棒状のPBLGがグラフトされた新規な構造をとっていることが推定された。この結果は三元ブロック共重合体PEO-PPO-PBLGの溶液、固体状態での特異な構造形成の可能性をも示唆している。 その他、各ブロックそれぞれの分子量分布の問題、PBLGを含む高分子へのサイズ排除クロマトグラフ(SEC)の有効性、PBLG-g-(PEO-b-PPO)の固体構造などに関し、今後の研究遂行に役立つ知見を得ている。
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