1997 Fiscal Year Annual Research Report
分子量均一なペプチドによるアスパルテートの協同的分子内転移の解明
Project/Area Number |
09650990
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
古屋 秀峰 東京工業大学, 工学部, 助教授 (90251652)
|
Keywords | アスパルテート / オリゴペプチド / ヘリックス-ヘリックス転移 / 協同的分子内転移 / コンホメーション / NMR測定 |
Research Abstract |
ポリペプチドは、溶液中においてα-ヘリックス、ランダムコイル、βシート構造などの異なる二次構造を取ることは古くから知られている。また、これらの二次構造は、温度、溶媒及び圧力などによって変化することも知られている。特に、ヘリックス-コイル転移については実験と理論の両面から研究されている。ポリペプチドの構造転移の特徴は、協同現象であり、分子内及び分子間の相互作用、即ち水素結合生成が重要な因子として考えられている。最近、我々はポリ(β-フェネチルL-アスパルテート) (PPLA)が温度の昇降によりα‐へリックスの右巻き⇔左巻きの鋭い一次転移を示すことを見い出した。分光学的手法によりPPLAのへリックス-ヘリックス転移が側鎖コンホメーション変化に誘起された協同的分子内転移であることを解明した。本研究では、ポリアスパルテートの協同的な分子内転移に着目し、転移現象の過程とダイナミックスを分子量均一の試料を用いて分子論的に解明することを目的とした。 研究の第1段階で、分子量均一のホモオリゴペプチドの合成を行った。ポリ(β‐フェネチルL-アスパルテート) (PPLA)のモデル化合物として、β-フェネチルL-アスパルテート(PLA)の残基数が異なる各種分子量均一のホモオリゴペプチドを固相合成法により合成した。化合物の精製は、逆相HPLCとGPCを併用して行った。得られたPLAのホモオリゴペプチドは、1H、13C-NMR測定および質量分析測定を行い、同定した。第2段階では、得られたオリゴペプチドを用いて、NMR測定やCD測定によりヘリックス転移温度や転移温度幅を検討し、らせんセンスノ反転の残基数(鎖長)依存性について考察する。さらに、緩和時間測定や分子動力学シミュレーションにより転移の動力学を検討する。
|