1997 Fiscal Year Annual Research Report
高分子結晶化誘導期における秩序化過程の熱分析と振動分光の同時測定による解析
Project/Area Number |
09651001
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
吉田 博久 東京都立大学, 大学院・工学研究科, 助手 (20094287)
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Keywords | DSC-FTIR同時測定 / 結晶化誘導期 / ポリフッ化ビニリデン / コンフォメーション / α-γ転移 |
Research Abstract |
既に作成していた熱分析とX線散乱の同時測定装置の感度を向上させて、熱分析と振動分光の同時測定装置を試作した。感度向上とノイズレベル低減のために、示差走査熱量計の増幅器を新たに購入した。 試作した同時装置を赤外分光光度計に設置して、ポリフッ化ビニリデンの融解状態からの結晶化過程を測定した。その結果、融解状態のランダムコンフォメーションからトランス-ゴ-シュコンフォメーションの連鎖が形成された後に、α型の結晶化による発熱が観察された。このことから、高分子の様に長い分子が規則構造を形成するためには、コンフォメーションの秩序化が結晶化に先行して起こると考えられる。さらに結晶化の進行に伴って、トランス-ゴ-シユからトランス-トランスコンフォメーションヘの変化が生じ、同時にα型からγ型への転移が起こった。転移のダイナミックスの解析から、α-γ転移は固相で起こる結晶転移であり、二段階のプロセスを経て起こることが明かとなった。 結晶化に先立つコンフォメーションの秩序化過程が、高分子の結晶化過程で一般的に観察される現象であるか、またポリフッ化ビニリデンのα-γ転移の二段階のプロセスがどの様な現象であるかは、今後の研究の課題である。本研究で試作した熱分析と振動分光の同時測定装置は、高分子の秩序化過程を系の内部エネルギーというマクロな観点と、分子コンフォメーションというミクロな観点から同時に観察する点で、高分子結晶化誘導期の現象を明かにする新しい研究手法である。
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Research Products
(1 results)