1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09651011
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
烏野 慶一 北海道大学, 水産学部, 教授 (80031467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前川 和義 北海道大学, 水産学部, 助手 (80250504)
蛇沼 俊二 北海道大学, 水産学部, 助教授 (30187588)
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Keywords | 操縦性流体力 / 拘束模型試験 / 過渡特性 |
Research Abstract |
本年度は本学の研究調査船「うしお丸」の船体模型を使用した斜航試験を実施した。昨年度に計測した円筒船型および円弧翼型船型の斜航試験結果とあわせ、これまでに計測した斜航流体力の時系列データに対する解析手法の検討をおこなうことに特に重点を置いた。研究代表者らが開発してきた操縦運動時の成分分離型主船体流体力数学モデルの概念では、定常流体力は、理想流体中の運動によって生じる理想流体力に粘性に起因する複数の流体力成分の重ねあわせて表現できると仮定している。そこで過渡運動時にも同様の成分から構成される流体力が作用していると考え、静止状態から定加速度運動を経て定常運動に至るまでの斜航流体力の時系列データを解析し、それぞれの成分が運動によってどのような変化をしているか考察をおこなった。 (1) 理想流体力成分はその定義から付加質量および運動の速度によって決定できるので、模型試験で得られた流体力の時系列データから理想流体力成分を分離し、粘性流体力成分のみを抽出することで流体カ変化の過渡的な特性の概略をとらえることができる。 (2) 粘性に起因する流体力はその発生メカニズムの違いから粘性揚力、誘導抗力、クロスフロー抗力等の成分によって構成されるが、前述の分離のみでは各成分の挙動が把握できない。そこで粘性揚力および誘導抗力がほとんど作用していないと考えられる斜航角β=90°で運動する場合を基準として、クロスフロー抗力成分のみを確定する。クロスフロー抗力は速度のy軸方向成分vの2乗に比例すると仮定すれば、各斜航角毎にvの比を用いてクロスフロー抗力成分を分離することができる。 (3) 時系列データから抽出した粘性流体力は、船体模型の運動に対する応答の遅れが認められるものの定常値へと収束するカーブそのものは滑らかに変化するために、適当な関数でフィッティングすることによりその特性を整理することができるものと考えられる。
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