1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09651032
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Research Institution | Science University of Tokyo |
Principal Investigator |
村松 容一 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (70266922)
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Keywords | 硬石膏 / ぶどう石 / 流体包有物 / マイクロサーモメトリー / ガス分析 / カソードルミネッセンス / 化学平衡計算 |
Research Abstract |
葛根田地熱地域のアップフローゾーンを代表する硬石膏中の流体包有物のガス組成,均質化温度,氷点降下温度,および硬石膏の硫黄同位体の各測定を行い,カソ一ドルミネッセンス観察を実施した。さらに,平成9年度の研究成果も加味して熱水性鉱物ー地熱流体間の化学平衡論的検討を実施した。 硬石膏のほとんどは産状から,葛根田地熱系の熱源と考えられる第四紀葛根田花崗岩の定置後に生成したと判断される。硬石膏中の液体包有物と多相包有物のなかには,氷点降下温度がNaCl-H_2O系の共融点よりも低いものが存在することから,包有物組成はNaCl-CaCl_2-H_2O_3成分系からなる可能性が高い。気相包有物は液体包有物と密接に共生する。硬石膏の硫黄同位体値は主に+21.6〜+24.2パーミルであり,生産井から噴出する熱水の硫黄同位体値より重い。これらの諸データに基づけば,アップフローゾーンに分布する硬石膏は,葛根田花崗岩の定置後に種々の塩濃度(35wt% NaCl+CaCl_<2eq>.以下)を有する沸騰化石流体から主として生成したと結論される。四重極質量分析計による硬石膏中の液体包有物のバルクガス分析結果は,浅部では天水の希釈による地熱流体の脱ガス化が硬石膏の生成後に進行したことを示唆する。カソードルミネッセンスは複数の生成時期をもつ硬石膏のうちから,最近の地熱流体により生成した硬石膏を特定することができる可能性がある。生産井の噴気試験時に採取した噴出流体の化学組成データを用いて,熱水性鉱物ー地熱流体間の化学平衡計算を行った結果,(1)地熱流体はアップフローゾーンで硬石膏に若干過飽和状態にあり,硬石膏はこのゾーンでは現世の地熱流体から生成し易い(2)地熱流体はぶどう石と平衡であること等が明らかとなった。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Sasaki,M., Muramatsu,Y. et al.: "Characterization of a magmatic/meteoric transition zone at the Kakkonda geothermal system, northeast Japan." Proc.9th Int.Symp.Water Rock Interaction Taupo,New Zealand. 483-486 (1998)