1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660004
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
山口 淳二 名古屋大学, 生物分子応答研究センター, 助教授 (10183120)
|
Keywords | α-アミラーゼ / 糖シグナル / オオムギ / ジベレリン / クロストーク / シグナル伝達 / ヘキソキナーゼ / 胚 |
Research Abstract |
糖は、代謝前駆体・中間体として重要であるばかりでなく、最近では、細胞内・組織間のシグナル物質としての視点から注目を集めている。 オオムギ(Himalaya)種子で発現する高pI、低pI型のα-アミラーゼ遺伝子群は、ともに1)ジベレリンによって誘導されること、2)アリューロン層細胞(胚乳外層の細胞層)と胚盤上反細胞(胚盤最外層の細胞層)において発現すること、が明らかとなっている。単離胚を用いた詳細な解析の結果から、両α-アミラーゼ遺伝子群の発現は、1)ジベレリンによって発現が促進されること、2)その発現が代謝に関係する糖によって転写レベルで抑制されること、またその抑制現象は、3)糖によるジベレリン合成の阻害とは共役しないこと、4)糖処理に伴う浸透圧効果とは異なること、5)アブシジン酸の作用とは異なること、6)代謝に無関係であってもヘキソキナーゼによってリン酸化される糖は効果的なこと、等が明らかとなった。また、両遺伝子群の発現は、胚(胚盤上皮細胞)においては上記のように糖による抑制を受けるが、アリユーロン層細胞においては全く観察されないことが示された。上記の結果は、植物ホルモンと糖シグナルのクロストークによって種子胚におけるα-アミラーゼ遺伝子群の発現が制御されていることを示している。オオムギ単離胚とアリューロン層を用いた比較実験より、糖によるα-アミラーゼの発現抑制現象は、種子胚に特異的てあり、また植物ホルモンのシグナル伝達とクロストーク現象が観察された。これらの現象は、種子の発芽過程における成長胚への栄養供給と胚盤上皮細胞の機能変化の生理的意義を分子レベルで解明したものである。この研究結果は、Plant Cell誌上に発表される予定(1997年12月号)であり、国際的に高い評価を受けている。
|
Research Products
(15 results)
-
[Publications] Perata P: "Sugar repression of gibberellin-dependent signaling pathway in barley embryos." Plant Cell. 9. 2197-2208 (1997)
-
[Publications] Guglielminetti L: "Effects of anoxia on sucrose degrading enzymes in cereal seeds." J.Plant Physiol.150. 251-258 (1997)
-
[Publications] Umemura T: "Sugar sending and α-amylase gene repression in rice embryos." planta. (印刷中). (1998)
-
[Publications] Matsukura C: "Leaf sheath growth promoted by gibberellins in dwarf mutant of rice." planta. (印刷中). (1998)
-
[Publications] Sugimoto N: "Temporal and spatial expression pattern of α-amylase gene during germination in rice and barley." Plant Cell Physiol.39(3月号)(印刷中). (1998)
-
[Publications] Morita A: "Functional dissection of a sugar-repressed α-amylase gene (RAmylA) promoter in rice embryos." FEBS Lett.(印刷中). (1998)
-
[Publications] Loreti E: "Effect of anoxia on gibberellic acid-induced protease and β-amylase processing in barley seeds." J.Plant Physiol.(印刷中). (1998)
-
[Publications] Ikeda A: "Characterization and expression of GASR1, a root-specific GAST1-like protein in rice." Rice Genet.Newslett.
-
[Publications] Matsukura C: "The first leaf sheath growth promoted by gibberellins in dwarf mutant" Rice genet.Newslett.
-
[Publications] Sugimoto N: "Temporal and spatial expression pattern of rice α-amylase gene RAmy1A during seed development." Rice Genet.Newslett.
-
[Publications] 豊福恭子: "α-アミラーゼ遺伝子の発現制御-植物ホルモンと糖によるシグナル伝達過程を解明のための分子指標として-" 植物の化学調節. 32. 132-143 (1997)
-
[Publications] 山口淳二: "植物化学調節実験マニュアル,全国農村教育協会" α一アミラーゼ誘導検定法, 6 (1997)
-
[Publications] 山口淳二: "植物化学調節実験マニュアル,全国農村教育協会" アブシジン酸によるα-アミラーゼ誘導の阻害, 3 (1997)
-
[Publications] 山口淳二: "植物化学調節実験マニュアル,全国農村教育協会" レポーター遺伝子の導入とその応用, 5 (1997)
-
[Publications] 山口淳二: "植物ホルモンと形,学会出版センター" α-アミラーゼの誘導, 10 (1998)