1999 Fiscal Year Annual Research Report
雄性不稔性細胞質と稔性回復遺伝子の関係を基軸するとダイコン類の遺伝子的分化の解明
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09660007
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
野村 哲郎 京都産業大学, 工学部, 助教授 (50189437)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺地 徹 京都産業大学, 工学部, 助教授 (90202192)
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Keywords | 雄性不稔性細胞質 / 稔性回復遺伝子 / 塩基配列多型 / RAPDマーカー / ダイコン |
Research Abstract |
1.オグラ型細胞質雄性不稔遺伝子における塩基配列多型 オグラ型雄性不稔遺伝子orf138を持つ栽培・野生ダイコン143個体について、この遺伝子のシークエンスを決定した。その結果、orf138内に6カ所の塩基置換と1カ所の欠失(39塩基)の計7つの突然変異が認められた。塩基置換のうち5つは非同義的置換であった。 7カ所の突然変異の組合せによって、ダイコンの塩基配列は9タイプに分類された。そのうち1つのタイプは既報のorf138のシークエンスと完全に同一であったが、このタイプの頻度は低かった。一方これとは1又は2個の塩基に差のある2つのタイプが、野生ダイコンに広く分布していた。 これらの塩基配列多型の分布から、オグラ型の雄性不稔細胞質は、野生種R.raphanistrumからハマダイコンにもたらされたものであることが明確になった。また我国の栽培ダイコンの中に、ハナダイコンが栽培化された在来品種があることも明らかになった。 2.稔性回復遺伝子の分子マーカーの開発 ハツカダイコンの品種'コメット'が持つ稔性回復遺伝子と連鎖するRAPDマーカーを発現した。雄性不稔のダイコン'MS源助'と'コメット'とのF_2集団を用いて、まずbulked segregant analysisによってRAPDマーカーを広く検索した。その結果、稔性回復遺伝子と連鎖する7つのマーカーを発見した。その後これらのマーカーと稔性回復遺伝子との組換え率を求めて、同遺伝子が存在する染色体上の連鎖地図を作製した。マーカーのうち1つ(OPH11_<410>)は稔性回復遺伝子と組換え率1.2%で連鎖していた。このマーカーを含めていくつかをSCAR化した。
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[Publications] Seiji Murayama: "Identification of RAPD and SCAR markers linked to a restorer gene for Ogura cytoplasmic male sterility in radish (Raphanus sativus L) by bylked segregant analysis."Breeding Science. 49. 115-121 (1999)
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[Publications] 山岸 博: "アブラナ科各種植物における細胞質雄性不稔遺伝子の分布の検索"京都産業大学国土利用開発研究所紀要. 20. 145-155 (1999)