1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660009
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
幸田 泰則 北海道大学, 農学部, 助教授 (20002355)
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Keywords | ダイズ / 老化 / アブシジン酸 |
Research Abstract |
まず開花・結実後の老化における莢の役割を明らかにするために、莢の除去が個体の老化に及ぼす影響について調べた。開花後2週目から莢を除去し続けた個体では、老化の開始が大幅に遅れ、対照区の個体が完全に黄化し落葉した時点でも緑色を保っていた。次に莢の除去の開始時期を変えてみたところ、莢を付けていた期間が長いほど老化は早く進行した。特に4週間以上莢を付けていた個体で老化が顕著であった。莢の生重は時間と共にほぼ直線的に増加したことを考慮すると、この結果は老化が単に莢と葉の栄養物質の競合によって始まるのではなく、若い莢が何らかの老化開始シグナルを出していることを示唆している。そこで、コムギ第一葉を用いたクロロフィル保持試験を老化促進活性の生物検定法として用いて、莢に含まれる老化促進活性を調べた。莢の抽出物の酢酸エチル可溶性分画には強い老化促進活性が検出された。莢の生育に伴うこの分画の活性の変動を調べたところ、開花後2週目から3週目にかけて、活性は著しく増加し、その後は高い活性を維持した。様々なクロマトグラフィーを用いて老化促進物質の純化・同定を試みている。活性物質は2種あり、一つはアブシジン酸(ABA)であり、もう一つは未知のものであると思われる。
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