1997 Fiscal Year Annual Research Report
イネ品種群の光合成、物質生産に関する耐旱性の生理機構解明
Project/Area Number |
09660010
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
和田 義春 宇都宮大学, 農学部, 講師 (80201268)
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Keywords | イネ / 耐旱性 / 光合成 / 物質生産 / 水ポテンシャル / 浸透調節 / サイトカイニン / 陸稲 |
Research Abstract |
日印交雑水稲品種Suweon287、日本の水、陸稲の主要品種コシヒカリとトヨハタモチを供試してポット栽培により断水実験を実施した。またこれらの品種に加え、深根性とされるゆめのはたもち、IRAT109を供試して圃場試験を実施した。主要な結果は以下の4点に要約される。 1.供試したイネ品種の水ストレス下での光合成速度低下においては、明反応系の能力低下が暗反応系の能力低下にやや先行したが、Suweon287はどの系の低下程度も小さいことが明らかになった。 2.水ストレス下での葉身水ポテンシャルの低下には顕著な品種間差はみられなかったが、浸透ポテンシャルはSuweon287でやや低く、浸透調節能力に品種間差が存在する可能性を示した。浸透ポテンシャルと葉身のショ糖濃度との間に直線的な関係が見られ、イネ葉の浸透調節にショ糖が関与する可能性を示唆する。次年度以降この結果を再確認するとともにその生理メカニズムを解明したい。 3.根から地上部へ送られる出液量は日本型陸稲トヨハタモチで多かった。出液中のサイトカイニン濃度には顕著な品種間差はみられなかった。しかし、この結果は根圏が制約されるポット条件で得られたものであり、出液採取量も少なくサイトカイニン分析はELISA法によった。今後、圃場試験で採取した出液中のサイトカイニンについて購入機材である高速液体クロマトグラフを用いて分析を進めたい。 4.出穂期の耐旱性について断水実験により品種比較したところ、Suweon287は不稔発生率が供試品種中最も小さく、水ストレス解除後の生長回復も大であったことから精玄米重の低下が最も小さかった。この品種間差の生じる生理機構を出穂遅延性や穂の水ポテンシャルの変化とその要因から更に検討を進めたい。
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[Publications] 和田義春: "畑栽培の日印交雑水稲品種Suweon287とトヨハタモチの8葉期における地上部諸形質と根の呼吸、出液およびサイトカイニン含量の比較" 日本作物学会紀事. 66・別2. 127-128 (1997)
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[Publications] 和田義春: "畑栽培した日印交雑水稲品種Suweon287の生殖生長期における耐旱性I、光合成、物質生産の抑制程度" 日本作物学会紀事. 66・別2. 207-208 (1997)
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[Publications] 和田義春: "畑栽培した日印交雑水稲品種Suweon287の生殖生長期における耐旱性II、出穂遅延、収量関連形質(1穂初数、不稔発生)への影響" 日本作物学会紀事. 66・別2. 207-208 (1997)