1999 Fiscal Year Annual Research Report
低投入条件におけるイネ品種の初期生長性に関する研究
Project/Area Number |
09660014
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白岩 立彦 京都大学, 農学研究科, 講師 (30154363)
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Keywords | イネ / Oryza sativa L. / 品種 / 初期生長 / 低投入 / 窒素 |
Research Abstract |
平成11年度は主に,前年までに収集・増殖したイネ64品種・系統を供試して,初期生長量と関連形質の変異を明らかにし,その品種間差異をもたらす要因について検討した. 1.初期生長をよく表すパラメータを明らかにするために,日本晴,水原258号,Black Goraおよび中国在来品種の4品種を大粒区と小粒区に分けて水耕栽培し,従属栄養生長量(Wh)と独立栄養生長量(Wa)の推移を発芽後35日間追跡した.従属栄養期から移行期および独立栄養期への転換期は品種・粒大を問わず変わらなかった.Whの推移は各処理区の最終Wh(Whmax)を用いた1次のロジスチック曲線で表され,一方,Waの増加速度(有効積算温度ベース)は各時点のWh+Waと各処理区固有の相対成長率(RGR)の積でよく表すことができた. 2.新旧の日本型,ジャワ型,インド型品種を含む計64品種の発芽後42日間の生長を水耕条件で調査した結果,個体当り生長量には190〜590mg,Whmaxには9〜22mg,RGRには8.6〜11.4mgg^<-1>(℃d^<-1>)の変異がみられた.日本晴を基準品種として,そのWhmaxおよびRGRの一方を他の品種のパラメータと入れ替えながら,上記のロジスチック曲線と指数曲線とを用いて生長量を試算し基準品種の生長量と比較することにより,各品種の生長におけるWhmaxとRGRの相対貢献度を評価した.旺盛な初期生長は,全体に,WhmaxよりもRGRに起因する傾向の強いことがわかった.Whmaxの品種間差異は,種子養分の利用率や利用養分に対する生長効率といった形質の影響は小さく,発芽時の種子重にもっとも左右された.一方RGR,は葉身への乾物分配率と密接な正の相関を示す傾向があった.
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