1999 Fiscal Year Annual Research Report
東アジアにおける土地荒廃現象の解明と持続的土地利用システムの確立
Project/Area Number |
09660019
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
恒川 篤史 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60227452)
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Keywords | 中国 / 土地利用 / 被覆変化 / 物質循環 / 森林伐採 / 植林 / 持続可能性 / 環境指標 / 評価モデル |
Research Abstract |
土地荒廃を防止し、持続可能な農業を達成することは重要な課題である。本年度は、1950年代以降の大規模な土地荒廃が問題となり、環境修復がもとめられている中国を事例に、この問題を考えた。本年度は、森林伐採後に環境修復を試みた事例をとりあげ、土地利用/被覆の変遷を明らかにするとともに、土地荒廃防止策が物質およびエネルギーのフローにもたらした効果を明らかにしようとした。研究対象地は、中華人民共和国四川省綿陽市塩亭県林山郷截流村内の一小流域である。対象地は面積約35.8ha、傾斜地には林地と畑が交互にみられ、底部には水田がある。対象地内に居住して農業を営んでいるのは19世帯61人である。 対象地では1950年代に燃料木収集のために森林が伐採されたが、70年代に植林が行われ、現在の対象地の森林被覆率は四川省平均の2倍となっている。植林により林地からの燃料供給が可能になり、小流域内の物質循環は改善されたが、窒素収支による評価では、化学肥料の多投入が示唆された。化学肥料の適切な施肥料の把握と、林分の転換が必要であると考えられる。 さらに村落レベルにおける土地利用の持続可能性を評価するための指標を検討した。対象地域内で生産された有機物(生物生産)が食料、燃料、飼料、建料、肥料の五つの主要な利用セクタのなかでどのように配分されたか、さらに域外とのインプット-アウトプットバランスを窒素、炭素、およびエネルギーのそれぞれのフローから定量的に把握した。さらにそれを提案されたモデルにより定量化することにより、生産性、域内充足性、利用効率性、域内循環性の四つの側面からの環境指標の算出を検討した。。
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[Publications] Tsunekawa A: "Monitoring of biological land productivity and evaluation of its sustainability"Proceedings of 1999 NIES Workshop on lnformation Bases and Modeling for Land-use and Land-cover Changes Studies in East Asia, Tsukuba, Japan. 222-226 (1999)
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[Publications] Anantha Ram K, Tsunekawa A, Saha DK, Miyazaki T: "Subdivision and fragmentation of land holdings and their implication in desertification in the Thar Desert, lndia"J Arid Environ. 41. 463-477 (1999)
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[Publications] 恒川篤史: "自然環境保全のための環境評価システムと意思決定"環境情報科学. 28(3). 24-29 (1999)
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[Publications] 安部和子、朱波、恒川篤史、武内和彦: "中国四川省の農村における土地被覆変化と生物資源利用"農村計画論文集. 1. 169-174 (1999)
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[Publications] Tachiiri K,Takeuchi K,Tsunekawa A.: "Space informatics for sustainable development.(Singh RB,Murai S editors)"The present status,potential and limits of simulation models of desertification. 255 (1998)