1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660024
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
高木 敏彦 静岡大学, 農学部, 教授 (40026612)
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Keywords | 根域制限 / カンキツ / 皮部率 / 糖含量 / オーキシン / 根系 |
Research Abstract |
根域制限栽培は樹体のコンパクト化や果実品質の向上などの利点が見られ、ウンシュウミカンでは生産現場への普及が始まっている。しかしこれらの効果の生じる機構については不明であり、この点を根の機能という観点より検討した。 根域制限栽培下での樹体成長の特徴として、樹体各部の成長が抑えられ、地下部ではTR率、細根比率の上昇が見られた。また、細根の構造は皮部率が高く、蒸散速度、水分吸収能の低下が認められた。この結果、地上部樹体の水ポテンシャルは低下し、無機成分の吸収能の低下による新生器官でのこれら成分の含量低下を招いた。また地下部では根の活性(TTC 還元力)低下およびデンプン、糖含量の上昇が見られた。果実品質に関しては、糖含量の上昇および酸分解の抑制による高酸含量を呈した。ただ、糖組成に関しては変化が見られず、単に水分ストレスを介しての効果では無いと考えられた。 樹体のコンパクト化の機構に関しては、外生ホルモンの茎葉処理および土壌処理の結果、根系のサイトカイニンレベルの上昇および樹体のオーキシンレベルのわずかな上昇が樹体成長を促すのに対して、高レベルのオーキシン上昇は逆に成長を抑制することが明らかとなった。次いで樹体成長の異なる台木間の内生ホルモンを調査した結果、新梢内のオーキシンレベルあるいはIAA/ABA比によって地上部成長が制御され、これらの上昇によって成長が促進されると考えられた。
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