1997 Fiscal Year Annual Research Report
赤色系シンビジウムの温度によるデイファレンシャルな花色発現調節機構
Project/Area Number |
09660025
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大野 始 静岡大学, 農学部, 助教授 (20126840)
|
Keywords | シンビジウム / 花色発現 / アントシアニン / 温度 |
Research Abstract |
わが国の代表的な鉢物花卉の一種で、とりわけ人気の高い赤色系シンビジウムはアントシアニンを主要な花色素にもち、その花色発現は温度の影響を強く受けて花色が変化しやすいうえに、唇弁と他の花被片とでは花色発現に及ぼす温度の影響がまったく逆になる。そこで、赤色系シンビジウムの花色発現の制御に資するべく、この温度によるデイファレンシャルな花色発現調節機構の解明をめざし、研究を行った。 まず、内花被片が3枚とも唇弁化しているバレーフラワー'スリ-リップ・メルヘン'を用い、唇弁化と花色発現に及ぼす温度の影響との関連を調べたところ、唇弁化した花弁においても本来の唇弁と同様に高温により花色発現が促進され、唇弁化と花色発現の温度に対する反応とは密接に関連していることが明らかとなった。唇弁におけるアントシアニン形成は除雄によっても促進されることが知られているが、サザナミ'ハルノウミ'など数品種を用いた研究により、この場合にも前歴としての温度条件が影響することが新たに示された。一方、花色発現に及ぼすアントシアニン前駆物質処理の効果は、培養花弁を用いた実験においても顕著ではなく、処理方法の検討などが今後の課題として残された。また、アントシアニンおよびその前駆物質ならびに関連する他の代謝経路の成分の含量に及ぼす温度の影響に関する唇弁と他の花被片との比較研究では、両者の組成に差違が見られたが、詳しい検討は次年度に持ち越した。
|