1997 Fiscal Year Annual Research Report
収穫後の青果物における緑色保持とクロロプラストの微細構造に関する研究
Project/Area Number |
09660026
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
寺井 弘文 神戸大学, 農学部, 助教授 (30110802)
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Keywords | ブロッコリー / 緑色保持 / クロロプラスト / ブランチング |
Research Abstract |
最近は野菜をカットして販売するカット野菜、また色々な種類を組み合わせたサラダなどの消費が増えつつある。ブロッコリーもその材料として使われ、わが国ではブランチング後サラダなどとして販売されている。しかし、ブランチングされたブロッコリーも退色しやすく、品質保持が困難である。筆者は以前から生のブロッコリー小花の緑色保持と老化に伴うクロロプラストの変化について研究しているが、ブランチングにより活性の失われた細胞でも変化が起きることから、比較のため、ブランチングしたブロッコリーのクロロプラストの劣化や緑色保持について調査を試みた。本研究は上記の実用面も考慮し、ブランチング後の保持温度と光の影響を調査した。ブロッコリー小花は1分間熱水中でブランチングの後、冷水で冷却され、トレイ・ラップ包装で5℃、10℃下、それぞれ暗所及び明所(2,000lux)で保存された。ブロッコリー小花はブランチング直後は鮮やかな緑色であったが、明所で保存したものは退色が早く特に5℃より10℃で顕著であり、色差計による測定ではHue angleが、またクロロフィルの含量もほぼ同様な傾向で減少した。クロロプラストの変化について、光学顕微鏡と走査型電子顕微鏡で観察した。クロロプラストはブランチングにより鮮やかな緑色に変化し、光学顕微鏡上形態は保持された。しかし、走査型電子顕微鏡での観察では表面に凹凸がみられた。貯蔵に伴うクロロプラストの変化と緑色の退色の関連について現在検討中であるが、全般的な形態の変化は以下の様であった。ブランチング直後細胞内の周辺部に位置していたクロロプラストは次第にその局在性が失われ、そのサイズは減少する傾向にあった。またクロロプラストの表面の凹凸より派生したとみられる顆粒が多く細胞内で観察された。
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