1998 Fiscal Year Annual Research Report
収穫後の青果物における緑色保持とクロロプラストの微細構造に関する研究
Project/Area Number |
09660026
|
Research Institution | KOBE UNIVERSITY |
Principal Investigator |
寺井 弘文 神戸大学, 農学部, 助教授 (30110802)
|
Keywords | ブロッコリー / 緑色保持 / クロロプラスト / エタノール処理 |
Research Abstract |
今年度はブロッコリーにエタノールの蒸気を与え、緑色保持効果を調査した。さらに実用面から、"固形アルコール"ブロックについても効果を調べた。 エタノールを水と混合し、O%(対照区)、10%、25%、50%、100%のエタノール溶液を作成し、そこに空気をパブリングして様々なアルコール濃度の蒸気を発生させた。それをブロッコリーの小花に導き、20℃の下、24時間または連続処理を行った。その結果、24時間処理では処理エタノールの濃度が増すにつれ、黄化が遅れる傾向にあった。しかし、50%、100%処理区でくすんだ緑色になるものがあった。10%,25%処理は漸次黄化が進んだものの25%の方が緑色保持効果が優れていた。一方、連続処理もほぼ同様の傾向であったが、異臭の発生が多く認められた。24時間処理のものは処理直後はアルコール臭は感じられるものの10%や25%のものは次第に減少した。このように25%のエタノール処理が比較的低濃度で緑色保持に効果のあることがわかった。 そこで25%エタノール処理について、クロロプラストの変化を光学顕微鏡により観察した。対照区では3日でクロロプラストがほぼ認められなくなったのに対し、24時間処理では、約2日間の遅れがあった。連続処理では0日から6日までクロロプラストは認められたが、2日以降クロロプラストの表面に小さな凸凹が観察されたり、またクロロプラストが互いに寄り集まり一つの団塊となることが確認された。これらのことから、一時的なアルコール処理により、クロロプラストの崩壊が抑制されること、また連続処理ではクロロプラストに何らかの異常が生じることがわかった。 次に有孔ポリエチレン袋に同時に"固形アルコール"のブロックを封入し、その緑色保持の効果を確かめた。ブロックの個数が増えるにしたがい黄化の抑制効果が認められた。黄化の進行を完全には阻止できないものの、緑色保持効果が認められ、特に異臭はなかった。
|