1997 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660033
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
水谷 房雄 愛媛大学, 農学部, 教授 (20026595)
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Keywords | 果樹 / モモ / 矮化栽培 / 螺旋状環状剥皮 / 葉内無機成分含量 |
Research Abstract |
果樹は樹が大きくなり、樹体の管理に多大の労力がかかるので樹を小さく仕立てる方法が求められている。そのような方法のうちの一つに矮化台木を用いる方法があり、リンゴではすでに商業栽培が行われている。モモではユスラウメやニワウメが矮化台木として試みられているが、接ぎ木不親和性や果実の渋み発生といった問題がある。適当な矮化台木がない果樹で、共台を使いながらなおかつ樹を矮化する方法が開発されれば大変有益である、したがって、ここでは種々の環状剥皮処理によって、モモの矮化が可能かどうかを2年生接ぎ木苗を用いて調査を行った。主幹の基部に幹周の1/2、2/3、3/3、1回螺旋、2回螺旋、3回螺旋の環状剥皮処理を行って、樹の生長量を測定した。環状剥皮の幅は5mmとし、5回反復とした。傷口の癒合を防ぐために、これらの処理は2週間毎に行った。枝の生長が抑えられたのは、3/3の環状剥皮区と2回螺旋、3回螺旋環状剥皮処理区であった。他の処理区は対照区と差がなかった。葉内無機成分含量を比較したところ、窒素含量は3/3環状剥皮区と3回螺旋環状剥皮区で低くなった。K含量は3/3環状剥皮区で著しく減少し、2回、3回螺旋環状剥皮区でわずかに低かった。CaとMgは3/3環状剥皮区でのみ低かった。いっぽう、Mn含量は3/3環状剥皮区、2回、3回螺旋環状剥皮区で高くなった。花芽率と枝10cm当たりの花芽数は対照区や他の処理区に比べて、3/3環状剥皮区と2回、3回螺旋環状剥皮区で高くなった。冬季の剪定枝量は3/3環状剥皮区、2回、3回螺旋環状剥皮区で小さかった。しかしながら、螺旋状環状剥皮区では処理した主幹部が肥大してコブ状になった。また、3/3環状剥皮区では5個体の内3個体が、2回螺旋状環状剥皮区では1個体が枯死した。以上のことから、適当な矮性台木がない果樹では、螺旋状環状剥皮処理が矮化に効果があると思われた。
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Research Products
(1 results)