1997 Fiscal Year Annual Research Report
植物の常在微生物叢と病原菌の侵入・定着に関する研究
Project/Area Number |
09660045
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
瀧川 雄一 静岡大学, 農学部, 助教授 (90163344)
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Keywords | 常在細菌 / 種子 / Pseudomonas fluorescens / Erwinia herbicola / hrp遺伝子 |
Research Abstract |
本年度は本研究計画の初年度にあたる。まず、トマトについて数種品種の種子を入手し、その種子より細菌の分離を試みた。発芽前の種子を浸漬した水より分離された細菌はグラム陰性菌が約4割と少なく、多くは陽性菌であり、またその大部分がBacillus spp.と考えられた。次に発芽したモヤシ状態の植物を磨砕して分離を試みたところ、Bacillus属を中心としたグラム陽性菌も多かったが、陰性菌の比率は約6割と上昇していた。これらに関しては品種間の差異などはほとんど見られなかった。ダイコンについては現在検討中である。これらの結果を従来予備試験で得られたメロンのデータなどと比較すると、グラム陰性菌の数が予想よりかなり少ないことが注目された。一方、植物の体内での定着に関与する遺伝子について、次年度分の試験の一部を前倒しで実施した。その結果、多くの植物に常在するPseudomonas fluorescensやErwinia herbicola群細菌の中に植物病原菌の病原性遺伝子であるhrp遺伝子の存在が確認された。さらにP.fluorescensでは遺伝子ライブラリーの作成と同遺伝子を含むクローンの選抜に成功した。腐生細菌からhrp遺伝子がクローニングされたのは本研究が初めてである。現在この遺伝子に変異を導入して定着能力に及ぼす影響を調査中である。また、E.herbicola群細菌ではインドール酢酸合成遺伝子のクローニングにも成功し、現在定着能力への関与を評価している。
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