1998 Fiscal Year Annual Research Report
ツマグロヨコバイの逆相関交差抵抗性に関する生理・生化学的研究
Project/Area Number |
09660046
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮田 正 名古屋大学, 農学部, 教授 (20023476)
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Keywords | ツマグロヨコバイ / 逆相関交差抵抗性 / N-メチルカーバメート剤 / モノクロトフォス / アセチルコリンエステラーゼ / アリエステラーゼ / Rmc系統 / スクリーニング |
Research Abstract |
アセチルコリンエステラーゼ(AChE)の薬剤感受性を指標にし、ツマグロヨコバイにおいて逆相関交差抵抗性を示す薬剤の組合せのスクリーニングを行い、N-メチルカーバメートと有機リン剤のモノクロトフォスとの間で逆相関交差抵抗性の関係を示すことを明らかにした。しかし、殺虫試験の結果からは、両者で逆相関交差抵抗性の関係は認められなかった。この原因を明らかにするため、感受性(S)系統のツマグロヨコバイに、カーバメート剤抵抗性遺伝子を導入したRmc系統を育成し、同様な実験をしたところ、殺虫試験およびAChE阻害において逆相関交差抵抗性の関係が認められた。そこで、Rmc系統のアリエステラーゼ(AliE)活性を調べたところ、Rmc系統のAliEは抵抗性(R)系統に比べ1/30に低下し、S系統と違いがなかった。R系統は、既に野外で有機リン殺虫剤に抵抗性を示したため、高活性のAliEを保持している。従って、R系統においてはこのAliEの高活性により、AChEの感受性がキャンセルされたと考えられた。更に、AChEの活性及び薬剤感受性を指標に、ツマグロヨコバイのAChEを調べたところ、6種のアイゾザイムに分離することが出来、これらの遺伝様式及び遺伝子型を推定した。感受性及び抵抗性ツマグロヨコバイ頭部からAChEを分離精製し、それぞれ3000倍に精製されたAChEを得ることが出来た。S系統及びR系統ツマグロヨコバイから分離精製されたAChEの基質特異性および活性等の生化学的性質に、S系統とR系統で違いが認められた。今後は、AChE阻害における逆相関交差抵抗性の分子機構について明らかにしたい。
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