1998 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09660059
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Research Institution | Tamagawa University |
Principal Investigator |
佐々木 正己 玉川大学, 農学部, 教授 (40096061)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 正人 玉川大学, 農学部, 助教授 (70204253)
中村 純 玉川大学, 農学部, 講師 (30256002)
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Keywords | ミツバチ / Apis mellifera / 記憶 / 学習 / 巣仲間識別 |
Research Abstract |
ミツバチの巣仲間識別が環境臭と体表ワックスの「記憶・学習」によるとの仮説に基づき,1)認識指標となる体表ワックスの動態,2)記憶(テンプレート)の書き換え,3)記憶能力の発現に及ぼす加齢と経験の影響を解析した. 1) 体表ワックス組成はコロニーごとに異なっていたが,同一コロニーでは季節を通じてかなり安定していた.それが蜂間での体表物質のミキシングおよび巣板ワックスのバッファー作用によることが推察された.また,生合成されるワックスの組成は,加齢状態や共存する蜂の有無などの社会的環境によって可塑的に変わることが示唆された. 2) 異群の蜂に接していると,かなり短時間の間にそれらの蜂からの情報により,識別する側のテンプレートが書き替えられることが確認された.巣仲間識別の場面では,こうして常に更新されているテンプレートと被検蜂からの認識指標が照合され,異物感がある場合に“非巣仲間"として認識されるものと考えられた. 3) 巣仲間識別に重要とされる記憶・学習能力を,吻伸展反射時の連合学習をアッセイ系として解析した結果,学習能力は加齢に伴って発達し,働き蜂では十分な学習能力を獲得するのに7から10日間かかった.学習能力の発達と維持には,匂いや仲間からの社会的な刺激(経験)が重要であることも判明した.また幼若ホルモン(JH)を経皮投与すると学習能力の発現時期が早まり,JHの生産源であるアラタ体のない蜂では齢が進んでも学習能力は発現しなかった.
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