1998 Fiscal Year Annual Research Report
絹繊維への金属イオンの吸着及び離脱に関する基礎的研究
Project/Area Number |
09660060
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Research Institution | Koka women's junior college |
Principal Investigator |
中嶋 哲生 光華女子短期大学, 生活学科, 教授 (70175496)
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Keywords | 絹繊維 / 金属イオン / 吸着 / 離脱 / 塩化第二銅 / 塩化第二鉄 / 塩化アルミニウム |
Research Abstract |
試料としては、市販胴裏用練羽二重を、非イオン性界面活性剤(ノニポール#200)の0.5g/lの溶液を用いて、浴比1:50、80℃60分洗浄処理したものを用いた。金属イオンとしては、和光純薬製特級試薬塩化第二銅の2水和物(CuCl_2H_2O)同じく塩化第二鉄の6水和物(FeCl_3・6H_2O)及び塩化アルミニウムの6水和物(AlCl_3・6H_2O)をイオン交換水に溶かして用いた。濃度は、それぞれ1×10^<-3>mol/lと5×10^<-4>mol/lの2種類を準備した。これらを用いて、30℃と80℃で、浴比1:30、5分・10分・60分処理した。それらの試料を、蛍光X線分析器を用いて、各金属イオンの吸着度合いを測定した。 その結果、銅イオンは、30℃の場合は、1×10^<-3>mol/lと5×10^<-4>mol/l;のどちらの場合も、時間とともに、吸着量を増し、浴濃度の高い方が、吸着量高かった。しかし、80℃の場合は、1×10^<-3>mol/lにおいては、5分後の吸着量が最も高い結果となった。また、同濃度では、80℃の方の吸着量が高かった。 鉄イオンの場合は、80℃の場合は、時間とともに吸着量を増していったが、30℃の場合は、どちらの濃度も、5分後よりも10分後の方が、吸着量が少なかった。処理温度の比較では、30℃よりも80℃の方が吸着量は高かったが、浴濃度の差異による影響では、低い濃度の方が高い濃度の場合より、吸着量が高かった。 アルミニウムイオンの場合は、5×10^<-4>mol/lで30℃の際、10分後の吸着量が下がったが、他はすべて時間とともに吸着量は増加していた。また、処理温度でみてみると、80℃の方が30℃より低い結果となり、浴濃度の影響も、低い濃度の方が吸着量が高い結果となった。 これらの金属イオンを吸着させた試料を用いて、30℃と60℃で洗濯実験を試み、処理液の導電率の時間変化を測定したところ、銅イオンを吸着させた試料を洗濯した浴中の導電率は、時間が経過しても変化が起こらなかった。鉄イオンを吸着させた試料を処理したものは、処理中は導電率の変化は無かったが、一晩放置後の処理液の導電率は大きく増加していた。アルミニウムイオンを吸着させた試料を処理した液の導電率は、一気に上がりその後、時間とともに減少し、一晩放置後はそれほど大きく変化しなくなった。
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